地域の雇用失業情勢とハローワーク業務のコロナ対応について

2020.10.8 ハローワーク

宇治公共職業安定所

所長 長江一久

こんにちは、ただいまご紹介に預かりました長江と申します。よろしくお願いいたします。我々ハローワークの職員はご存知のように一対一でカウンターでお話することが主たる業務になっていますので、このように沢山の皆様の前でお話するのは非常にまれで、得意ではございませんので聞き苦しい点が多々あると思いますがよろしくお願いしたいと思います。

私共は宇治所の在任は2回目となります。平成10年に3年ほど専門相談部門というところで外国人の方や障害のある方の就職支援をさせていただいておりました。そして、今回2回目の就任になります。説明はお手元の資料を順にお話させていただきます。

「地域の雇用失業情勢とハローワーク業務のコロナ対応について」これを中心にお話させていただきます。

宇治公共職業安定所の概況ということで、「公共職業安定所」、今は「ハローワーク」というのが一般的な呼び名にはなって来ていますが、正式的には公共職業安定所といい、私が入った時は「職安」という呼び名が一般的でした。ちょっとイメージを良くしようと平成に入ってから愛称としてハローワークという名前をつけたわけですが、今のところハローワークの方が逆に有名になってきて若い方は「ハロワ」と言っています。私は勤務していながら娘から「ハロワ」って聞いて何のことかわからなかったくらいです。最近は、逆に公共職業安定所と言えば「なにそれ」と言われることが多くなってきたのが現状です。私が(職場に)入った時の宇治所は、伏見安定所の出張所でございまして、宇治橋より東側にありました。当時は4、5人の職員でやっていたと思いますが、昭和62年に本所に昇格して、当時は先般解体されました宇治川沿いの宇治の公民会館を間借りさせていただいて、営業を開始し1988年に現在の場所に移転したということになります。移転したときは前もまだ竹林だったと思いますが、当初は25、6人の規模で運営していました。私も(職場に)入ってからできましたので、まだまだ新しいような気持ちでいたのですが、もう30年が経ち、あちこち老朽化が目立って来ています。何分、国の建物というのは頑丈には作られてはいるのですが、メンテナンスを役目とする職員がおりませんので、民間さんの建物に比べると老朽化が早いような気がします。ちなみに七条のハローワークは、駅ビルと同じ時代に建っているのですが、駅ビルはまだまだ第一線級なのですが七条ハローワークは(同い年とは見えないくらい)汚い感じです。

組織の体制は庶務課、雇用保険課の2課で、職業相談、専門相談、事業所専門の3部門、職員23人、非常勤が40名おります。当初25、6人の職員で、非常勤職員は10人程度しかいなかった職員が、それが今、コロナ禍の影響もあり倍増しています。当然庁舎は25、6人で設計しておりますので、ご存知だと思いますが非常に狭隘しております。今は密を避けなければならないのですけども、7月以降は利用者ほぼ戻ってきており、さらに密の状態になっているというのが現状です。

管内の自治体ですが、この宇治市を含めまして宇治市、城陽市、久御山町、宇治田原の2市2町を管轄しております。それぞれ特徴がある市町で面白いところだと思います。

それでは本題の地域の雇用失業情勢に入りたいと思います。

管内の雇用情勢の推移ですが、こちらには平成26年から去年の令和元年度までの数字を並べております。リーマンショック後、徐々に回復してきまして、京都府内では群を抜いて高い有効求人倍率を誇っているハローワークになります。有効求人倍率というのはご存知だと思いますが、求人者からが出される有効中の求人1件に対して何人の求職者が登録されているかという形になります。先般まででしたら(有効求人倍率)1を超えておりましたので(求職者)1人当たり(求人)1(件)以上となっていました。仮に無理やり一番の人から順番にお仕事を当てはめていくと求人者の方が余ってしまうと言う状態です。現在(有効求人倍率)1になっておりますので同等という形にはなりますが、当然お互い選ぶ権利がありますので、即、決まるということにはなかなかならないと思います。

昨今の状況ですが、現在公表できるのは6.25月報の8月分という形になります。残念ながら求人倍率は1月から下降の一途になっています。有効求職者数、求職者は上がってきていますが求人が徐々に下がってきていますの。宇治所の場合は有効求人倍率が1を超えておりますので京都府下よりかは若干良いという形になりますが、宇治市単独では(有効求人倍率)1をちょっと割っているような状態になってきております。

月間有効求職者数が8月に3961人で、去年と比較をしまして16.4%上昇している形になっています。新規求職申込者数、これは8月中に新たに求職の申し込みをされた方の人数になりますが、これが-2.2%で下がっております。今年度入ってからも4,5月と前年度を割っておりました。6、7月は前年度を越えるような状況でありましたが、比較的新規求職者の数は(前年と比較して)そんなに変わっていないように感じます。しかし、有効求職者数が増えているということは、なかなか就職が決まっていない方が増加していると推察できます。4月5月の頃は求人者の皆さんも、なかなか思い切って面接をしようとはされなかったというのも現状ですし、求職者の皆様方も今の時期、活動していいのかなということで戸惑っていらっしゃったというのがこの有効求職者の底上げに繋がっているのではないかと考えられます。つまり、求職者は、新規の方はあまり変わっていないのですが、出て行く方が少なくなって来てるので滞留してきているというのが現状です。このままいくとどんどん増えていく一方ということになります。その援護措置で雇用保険の方も60日の給付延長等の措置しているところです。

一方、求人ですが、現在確かに下がっております。ただ一般的に見ますと基幹となる正社員の求人というのは比較的下がっておりません。若干下降気味ですが全体的な数字と同じような動きはしておりません。やはり(雇用の)調整弁になってしまっているパートであるとか、「非正規の方の求人が激減している。」というのが現状になっております。我々ハローワークの紹介に至ってもパート等非正規の方が比較的就職につながりやすい側面もありますので就職者数がその分、下がって来ています。

令和2年8月末現在の市町村別雇用情勢があります。

やはり当所管内では宇治市が一番占めている形が一目瞭然かなと思います。有効求人倍率をみていきますが、(宇治市は)1を割り切ってしまっているというのが現状で、久御山町は工場が非常に多く昼間の流入人口が非常に多いところとなり、実際の住まいの方というのは比較的少なくなりますので有効求人倍率は高くなっています。コロナ以前は7とか8とか言う数字を記録していたところでございます。宇治田原町も工業団地がありますので比較的高い有効求人倍率を示しています。

これをコロナ以前と比べるとどうなんだろうというのが次の平成2年1月の数字です。1月頃は現在の1.5倍程度になっています。このときは売り手市場、求職者の方が選べるという状況になっていたのではないかなと思います。そういう意味では今は徐々に求人者の方が選べる立場になりつつあります。ですので、そこで他と比べて付加価値のあるような求人をお出しいただければ早期の充足が望めるのではないかと思います。できましたら求人提出のご協力のほうお願いしたいと思います。

現在の雇用失業情勢は以上のような形となっており、安心はできない状態が続いています。

ハローワーク業務のコロナ対応でございます。

一番目玉となりますのは雇用調整助成金の緊急対応期間を当初の6月末だったものを9月末に、また今回12月31日までに延長させていただいた形になりました。最初はドタバタで手続きを緩和したり、提出書類を少なくしたりで皆様には非常にご迷惑をかけたところなんですが、今のところ安定して処理できているとおもいます。ただやはり、想定を超えた申し込みがありましたので厚生労働大臣が「2週間で払う。」と国会でいい切ってしまいましたが、残念ながら当所におきましては、それは絵に描いた餅になっており、1ヶ月近く実際のところはかかっているというのが現状でございます。この助成金を処理するに当たって、京都労働局では事務を集中してやっている助成金センターを拡充しました。正規の社員がすぐに雇用できるわけでもないですし、定員を増やそうとすれば当然国会の承認も必要になってきますので、非常勤の方々を雇用し15.04対応しています。官製非正規というんですか、そういう方々がかなり増えており、コロナ禍が収束した後にどうなるのかなというのは内部でも心配しているところであります。また12月31日までの緊急対応期間も先般、新しい大臣が年明けてからも延長するようなことをおっしゃっていたことが新聞に載っていると思います。こういう緊急対応に関してもそうなんですけれど、法令解釈の変更であるとか、改正とか、実は皆様のほうが、情報が早い場合がおおくみられます。変更等があれば、ハローワークに「どうなってんの」とお聞きいただくと思いますが、圧倒的に新聞発表のほうが早く、内部の方が後で通達が回ってくるということが、ここ数年続いており、私たちも非常に普段から困っているところでございます。

他に雇用調整助成金の日額の上限引き上げ、当初はご存知のように8330円で、これは雇用保険の失業給付の上限限度額で設定させていただいたものですが、これを超えて1万5000円まで支払うという形になりました。また中小企業への助成金の拡充、当初の助成率より解雇をせずに雇用維持に努めた中小企業の皆様には助成率を10分の10、100%に拡充し支給する形になっております。当然、限度額は(日額)1万5000円という形にはなります。ただ残念ながら雇用維持ができなかった場合は、該当しないということではなく80%、5分の4の助成率は維持できておりますので手続きの方をしていただければと思います。

次の緩和措置としましては、生産指標の要件の緩和をしているところです。提出のあった月の前月と対前年費、10%減少というところから5%減少というところに緩和させていただいております。また確認期間を3ヶ月から1ヶ月に短縮して申請がしやすくなったのと同時に我々の審査のほうも簡略化させていただくことができ迅速な支給ができるようになっております。

事業所設置要件の緩和

事業所設置後、1年以上を必要としていた要件を緩和しています。この場合、生産指標の確認は提出のあった月の前月と令和元年12月を比較するような形になります。1年経たなければできなかったものを実際、売り上げが減少した会社には相談させていただくという形になっています。

休業希望要件の緩和

休業等の延べ日数が対象労働者にかかる所定労働日数に対する割合を緩和しました。中小でしたら20分の1以上休業していなければならなかったものが40分の1以上に変更させていただきました。大企業になりましたら15分の1から30分の1という形で半分の規模での休業で申請可能という形になっております。この雇用調整助成金は従来の形でありますと、どちらかといえば工場系の製造業が申請しやすい形になっていましたが、(この緩和により)宇治市は販売、サービス業も多く申請していただいているというのが現状であります。

もう一つの目玉といたしましては適用事業所において被保険者ではない従業員の方を休業させた場合、これは週20時間を下回って労働されている方で雇用保険の被保険者にならない方は、助成金では非該当と言う形になっていましたが、緊急雇用安定助成金制度を利用して手続きが可能という形になっております。申請要件は雇用調整助成金と同じ形になっています。

助成金手続きが面倒だなということで躊躇されている事業者の方がおられたらまず一度ハローワーク宇治の方にご相談いただければなと思います。

休業支援金・給付金

助成金は事業主様から休業手当が支給されるというのが前提での制度でございます。休業手当を受けることができない、そういう場合に労働者に支給する休業支援金というものが設定されました。これは従業員の皆さん手続きしていただきますが、制度の概要としましては7月1日から12月31日までの間に事業主の指示により休職した中小事業主の労働者のうち、その休業に対する賃金を受けることができない方を対象に休業前賃金の8割を実績に応じて支給しますよという制度でございます。

申請の流れとしましては

支給申請書と支給要件確認書を当省の厚生労働省のホームページからダウンロードして必要な書類を添付して郵送していただきます。(郵送先は)たまたま京都中央郵便局なのですが全国こちらになっています。国から事業を受託した業者が京都府内の事業所さんであるようなのでこのような形になっているようです。京都労働局が全国の分を率先してやっていると言う事ではありません。問い合わせ先もコールセンターになっております。各労働局、ハローワークにご確認いただいても対応はコールセンター一元でしており、内容としてはハローワークが関係してしかるべき制度かとは思いますが厚生労働省が取り決めて外部に委託したという形になっています。最終的な審査であるとか、支給であるとかはハローワークというか各労働局の方でさせていただいくを形になっています。もしこのような事象が該当する方がおられましたらホームページのほうにアクセスいただくか、申請書類等はハローワークにも置いてありますのでお声がけしていただければなと思います。休業支援金給付金のご相談をハローワークにしていただきますと一般的には休業手当を支払うというのが先になりますので不支給理由等をお聞きしなければならない点が多々出てくるかなと思います。必要に応じて従業員さん自らお尋ねいただき方がスムーズかもしれないですね。現状は以上のような形でコロナ対策をしているところでハード面では求職相談の窓口、保険の窓口のビニールシートで仕切りをさせていただいて飛沫感染対策をとり窓口対応させていただいているところで、来月にはアクリル板が労働局の方で用意してくれる予定です。国は即動くということはなかなかできず、予算措置等で時間がかかり半年後という形になってしまいました。

現在、利用者の方が沢山ハローワークにお見えになって熱心に求職活動をされている方が非常に多くなってきております。密の面で言いますとあまり望ましいものはありません。また、雇用保険を受給される方は通常、説明会というものを受講していただいていますが集団的な集まりができないので現状、個別に相談・説明させていただいております。1人ひとりの時間が非常に長くなっており、沢山の方が待合で滞留していらっしゃるというのが現状になっております。皆様におかれましてはできるだけ電子申請等を活用いただいてハローワークと末永いおつき合いをいただければなと思います。

本日はどうもありがとうございました。

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