宇治市の消防体制について

2020.10.29

宇治市消防本部

消防長 吉田昭

皆さん、宇治市消防本部の吉田でございます。本日は皆さんとお話をする機会を作っていただきまして大変ありがとうございました。また宇治鳳凰ロータリークラブの皆様におかれましては山下会長を先頭に宇治市の消防行政や防災行政に日々ご協力、ご尽力をいただいておりますことに対しまして、この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。今日は限られた時間の中ではございますが、宇治市消防本部の消防体制の現状をお話させていただきながらそのあと、消防本部が重点的に行っております事業につきましてちょっと宣伝になるかもしれませんが、お話させていただきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

皆さんのお手元の方に資料をお配りしております。今日はこちらの資料に沿ってお話を進めさせていただきます。

宇治市消防本部の歩み

宇治市市制が施行されましたのは、昭和26年の3月1日です。これはわりと有名な話なのですが、消防本部ができましたのが、その1年5ヶ月後の昭和27年8月ということになっています。設置されました当時は本部員がたった3名の本当に小さな消防本部として発足をしております。今から遡りますこと約68年前の話でございます。大変小さな組織でございましたので、例えば現場活動、消火活動とか、水防活動とかございますけども、そういった活動につきましては、たった3人なので、職員だけでは対応できませんでしたので、消防団の方に全部お願いしながら対応されていたと聞いております。その当時は水防活動とか、消火活動を行うだけの組織でございまして、今は消防本部の中の大半の業務を占めております救急業務というのは行われておりませんでした。救急業務が始まったのが昭和34年、法律が改正されまして消防本部で救急業務を扱うようになりました。当時は、市の衛生車というのがございまして、その車を活用させていただいて救急業務が開始されたということです。そして救急業務が昭和40年頃からわりと需要が多くなって参りまして、消防本部に救急車を整備しながら本格的に救急業務を開始することになりました。当時の救急車といいますのは今でしたらわりと大きいワンボックス型で外から見たらわからないかもしれませんが車の中で立って作業ができるほどの高さがございます。

それと比べまして当時の救急車といいますのは今で言うバンタイプの車、乗用車の後が荷台になったようなバンタイプの車を使用されていました。救護活動につきましても本当に簡単な応急処置だけをして、とりあえず早く病院へ運ぼうというような救急業務でございました。現在は救急救命士制度というのがございますので救急救命士が行います医療行為が気管挿管でありますとか、輸液でありますとか、薬剤投与とか、そういったことも行いながら搬送するんですが、当時は早く病院へ運ぶことを主とした救急業務であったとお聞きしております。そうした中、消防署の庁舎につきましても徐々に昭和30年頃から現在の東消防署の前身となります東宇治分遣所というのが建設され、昭和44年には消防本部及び消防署庁舎を宇治地区に建設。これは現在、宇治市福祉サービス公社が使用されているところでございます。そして昭和47年には現在の伊勢田救急出張所の前身となります西宇治消防出張所というのを伊勢田地区に建設しております。私が消防署に入りましたのが昭和55年の1月になるんですが、この年に4名の職員が増員されると書いていますが、そのうちの1名が私でございます。私が消防本部に入署しました頃には1消防本部、1消防署、2消防分署という体制で職員数にありましても112名と格段に増員された状況でございました。その後、昭和57年に現在の西消防署の前身となります西宇治消防分署が建設されたり、昭和63年は槇島地域に槇島消防分署が建てられております。最終的には平成15年に現在、消防本部が入っている宇治市保健消防センターというのが竣工いたしております。また時の経過とともに出張所を消防分署にしたり、消防分署を消防署にしたりということで現在では1消防本部、3消防署、1消防分署、1救急出張所という体制で、職員数にありましては私が入った時の倍ほどの211名という大変大きな組織になることができております。

次に宇治市消防本部の機構につきまして触れます。

宇治市長の直轄に消防本部、消防団本部というのがございまして消防本部の中には4課、それぞれ独立した課がございます。そのうち消防総務課、予防課、警防救急課というこの3課にありましては毎日勤務者として、事務処理をやっている部署でございます。もう一つの指揮指令課というところにありましては宇治市内の119番通報を全て受信しております。受信して消防隊や救急隊を出動させる消防で言いますと中枢の部署と言うことになっております。現場活動のほうは中消防署、西消防署、東消防署という三つの消防署で災害対応を行っております。また消防団組織にありましては消防団本部の下に宇治分団、槇島分団、小倉分団、大久保分団、東宇治分団、それと女性消防団として、あさぎり分団という6分団で構成しています。

消防の予算について

211名の人件費とすべての費用を含めまして単年度約19億円から22億円の費用がかかっております。年度によって約3億円の差があるというところが皆さん不思議に思われるかもしれませんが、消防車両というのは大変高価なものが多いです。例えば今、東消防署に配置しています30m の高さまで届くはしご車は約2億円します。西消防署の救助工作車が約9000万円ぐらいします。あと救急車は、しょっちゅう走っていますけれど1台約3000万円します。そういった値段がしますので車両の更新の多い年についてはこういった22億とか、そういったことで額が上がっています。この予算額を宇治市民の方一人一人に当てはめていきますと、赤ちゃんも含めて1人1万1000円かかっていることになります。

各消防署の庁舎について

宇治市消防本部の庁舎といたしましては宇治市保健消防センターがあります。ここが消防の中心となります。1階には中消防署が入っておりまして2階には消防本部が入っております。あと3階以上なんですが、保健施設や休日診療所の施設等が入っていまして、宇治市内では珍しい複合施設になっています。宇治市保健消防センターを中心といたしまして各消防署が配置されているわけでございますが、宇治川沿いには槇島消防分署がございまして、ここには宇治川水難救助対応といたしまして舟艇が2艇配置されております。中心から言いますと西側になります所には西消防署があり、こちらには特別救助隊が配置されて全市内を管轄しております。東側には東消防署があり府道宇治城陽線(旧24号線)の通り沿いに伊勢田救急出張所があります。ここには2台の救急車と救急救命講習ができる施設を含めて救急に特化した出張所ということになっております。

宇治市の火災対応の状況は

火災があったときにどんな体制が取れるのかというところで皆さんもあまりご存知ないと思いますが、例えばいわゆる一般の家で火災が発生しますと、これを建物火災と消防本部では言っていますが普通の家が燃えますと各消防署から消防車が5台、救急車が出動し、更に指揮隊車両というのが一緒に出動します。この指揮隊車両といいますのは、直接災害対応の放水活動は行っていませんけども、各消防車がどこの水利についてどの方面から放水をする、例えばその延焼の状況を見ながら随時活動指示をする中枢の部隊でして、これがないとなかなかうまく消せないことになります。救急出動については救急隊が5隊配置されていまして年間9000件以上の救急出動をこの5隊で対応しております。年に数回、一度か二度ぐらいは5隊では足りなくなる場合があります。5隊すべてが出てしまっていて、別の救急要請があるということが年に1回か2回ぐらいはあるんですけども、そういった場合は、京都市さんのほうへお願いして、京都市さんのほうから救急隊に来てもらう対応を取っています。特に救急車といいますのは、本当に1分1秒を争うような現場が多いわけでございますので、消防隊の場合でしたら各管轄区域を持っておりまして、住所によってどこの消防隊が出るかを決めていますが、救急車につきましては災害現場に一番近いところにいる救急車を選定して現場へ出動させるということになっております。

近年の災害状況

地震や豪雨や台風、こういった災害がテレビでもよく見ますが、50年に一度とか、100年に一度とか、そういうふうに言われる災害が本当に毎年のように全国どこかで発生しているような状況でございます。ここ数年の状況を見ましても千曲川の決壊や九州地方で、聞かれたことがあると思うんですが線状降水帯といって、同じ場所でどんどん雲ができて、その場所で雨が降り続けるというような特殊な局地的豪雨によって沢山の方が家を失ったり、被害に遭われたりしているのが現状です。宇治市におきましてもこういった災害がいつ起こるかわからない。どこで起こるかわからないということで現に平成24年に京都府南部地域豪雨災害というのが起こっております。これについても同じように線状降水帯が発生しまして、宇治市内の各地で大変甚大な被害が出ておるのが記憶に新しいところではございます。こういった大きな災害が発生した時に消防組織といいますのは、市町村単位の組織でございます。宇治市でしたら宇治市内しか出動しないという形の組織でございますので大きな災害が起こって広範囲に被害が出た時に、宇治市の消防だけではなかなか対応できないような事が起こってくることがございます。そういった時のために京都府下の消防本部全体で京都府の広域消防相互応援協定というものが組まれております。例えば宇治市で大きな被害が出た時には京都府下の消防本部が宇治市へ駆けつけていただくという、要請によって来ていただくような協定も組んでおりますので何とか京都府は守れるのかなとこんなふうに思っているところでございます。

火災などの統計について

火災種別、近年の火災発生件数につきましては徐々にではあるんですけども減少の傾向になっております。平成30年度と令和元年度を比較してみますと火災件数では6件の減少、私が入った昭和55年ぐらいですと120件ぐらいの火災が発生していることから思いますと本当に半減以下になっているのかなと思います。これにつきましてはいろんな要因が考えられてはいるんですが一つの要因といたしましては最近のガス器具、または電気器具で、これらの安全装置が大変すぐれています。ですからちょっとしたミス、うっかりしたミス、天ぷら鍋のかけ忘れとか、そういったものでも昔でしたら火がついて家一軒が燃えていたところが、ガスが遮断されて勝手にガスの火が消える。そういったことで火災件数が少なくなっているということについては、これは事実かなと考えております。

火災の原因について

やはり最近の世相を反映いたしまして放火または放火の疑い、これを足したものがほとんど毎年トップになっています。続きましてはタバコによる火災で、これも喫煙者の方がどんどん減っているところではございますけども、件数も減っているんですが相変わらず原因の上位を占めています。最近の話なんですけども増えているのが電気配線による火災というのが大変多く発生しております。世間でもDo it your self 何でも自分でやりましょうという風潮があります通り、配線工事とかも自分でやられたり、危険性もわからず柱に打ち付けたりとか、そういったことによって火災になっていることが多く発生しております。

火災現象のもう一つの要因といたしましては、住宅用火災警報器をご存知だと思いますがこれの普及が大分効果を出しているのかなと考えられております。住宅火災警報器は消防法及び、宇治市の火災予防条例によりまして平成18年6月から新築住宅に、平成23年6月からはすべての住宅に設置することが義務付けられております。全国的に見ますとやはり住宅火災で亡くなられる方の約6割以上がやはり逃げ遅れによるものという報告もされております。そんな中でアメリカでは1970年代にはすでにこういった住宅用火災警報器の設置が義務となっていたようです。その結果10年後ぐらいにはやはり住宅火災で亡くなられ、焼死者数が半分以下に減ったという報告もされております。宇治市内ではもうすでに8割以上の方が住宅用火災警報器の設置をしていただいていますが、これも期限がございまして、だいたい5年から10年と言われております。ほとんどの機種は10年は持つと言われていますが、ちょうどその設置義務が始まりました頃に設置していただいた方につきましては、そろそろ買い替えの時期が来ているのかなと思います。また価格的に安いものではないんですけども、これによって家族の命が守れると思ったら、ぜひ点検していただいて交換をしていただくようにお願いしたいと思います。まさか設置しておられない方はこの中にはおられないとは思いますので、交換のほうよろしくお願いしたいと思います。

そんな中でも、火災によって亡くなられた方の7割が高齢者の方というような報告もされているところでございます。これにつきましては、やはり行動力の低下とか、例えば目が悪くなってコンロの青白い火が見えない。着いていないと思って、その上で作業をしていて着衣に火がつく。そういった高齢者特有の原因で亡くなられる火災も増えております。これまでガス器具や電気器具には安全装置が付いていて火事が少なくなったというお話はさせていただいておりますが、やはり高齢者の方といいますのは長年使い続けてきたガスコンロでありますとか、電気ストーブでありますとか、そういったものを長く使われているという傾向がありますので、どうしてもそういう安全装置がないもので災害に遭われるといった傾向があるという報告もされているところでございます。

地域の自助・共助

こういった言葉を聞かれたことがあると思います。それのツールといたしまして災害時安否確認のためのボードというものを消防と市の危機管理課、合同で作らせていただいております。これはどんなものかと言いますと災害時安否確認ボードと言いまして黄色い面とみどり色の面と二つあるんですけども黄色い面につきましては台風や地震が起こったとき玄関前に「私、大丈夫です」という意味でこの黄色面の方を掲出していただくものです。これは、例えば救出に向かった消防隊員がこのボードを見て、この家は大丈夫なんやと隣の家を見ればこのボードが出てない。ひょっとしたら中で閉じ込められているかもしれないので救助に向かう目印になるというようなことで各自冶会、町内会さんにこういったボードを町内会単位で導入していただけませんかということで消防と危機管理課のほうからお願いに回っております。これは昨年度から始めたところなので現在46の自冶会、町内会さんに配布させていただいて、約1万2000枚配布させていただいております。まだまだストックがございますので興味を持たれた方は消防本部か、市の危機管理課のほうに問い合わせていただきましたら無料で配布させていただくことになっておりますのでよろしくお願いします。また災害の時だけに使うボードだけでなく、裏側は普段でも使えることができるようになっています。例えばこれを玄関先に置いといて出かけるときにぱっと見ていただき、何が書いてあるか、電気、ガス、タバコは消しましたか、出かける前、寝る前、火の元の確認はしましたか、みたいなちょっと出かけるときに気になって確認に戻ってもらう。そういったことでも大半の火災は防げます。興味のある方は導入を考えていただきますようにお願いしたいと思います。

火災件数

火災件数は減少の方向に向いてはいますが、救急のほうにつきましては、やはり右肩上がりとなっています。だいたい宇治市で言いますと年間で500件ずつぐらい増加しています。昨年の救急件数は9228件、年々増えると言っていましたが、一昨年は猛暑がありまして熱中症の方を、沢山搬送しております。そういった関係もございまして昨年は割と熱中症の方がおられなかったので150件ほど減少しております。またこれは不思議なことで今年に入りましてコロナ、これの感染が多く発生しています。本来で言えばコロナに感染されて救急要請されて沢山運んでいるのかなと思うとこれがまたコロナ対応としてマスク、消毒、そういった予防対策を徹底されていますので、インフルエンザがほぼありませんでした。今年の初め、2月3月ぐらいでは、通常であれば一番インフルエンザが流行する時期にほぼなかったというドクターとお話をする中でも、こういったことをおっしゃっておられます。ただ皆さん思い出してください、コロナが初めて入ってきたとき、やはり心配で怖い思いをされていますが、今でこそちょっと落ち着いているのかなという感じですけども、コロナが入ってきた頃と何ら変わっていません。まだ特効薬もありません。そういった状況の中でやはり年長者の方とか、持病を持った方へは何の対策もできておりませんので、消防本部といたしましても十分感染防止には努めてはおりますけども皆さんも気をゆるめずコロナ対策をしっかりしていただきたいと思います。お時間が来たようでございますのでこれで私の話は終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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