少年の今を語る

大阪弁護士会

弁護士 横山 巌


こんにちは、ご紹介いただきました横山巌と申します。本日は宇治鳳凰ロータリークラブの1257回の例会ということで、このような素晴らしい席にお招きいただきましてどうもありがとうございます。今日は井上先生の方から何か話を、ということを頂戴しました。今、ご紹介いただいた通り、私は法律家でございます。日常の仕事は、会社の顧問などいろいろさせていただき、民事、家事、刑事事件もいろいろやったりしているんですが、子どものことにいろいろ関わりたいなといったところで法律家になった所もございますので、その仕事以外といえば変ですが、子どもの権利擁護ということで自分なりにいろいろと活動しております。ロースクールでも教鞭をとらせていただき、少年関係の講義をさせていただいております。それから文科省の方ではいじめ関係の委員を、それから皆さんご存知だと思いますけども大津で5年も前になりますけども、当時中学2年生のお子さんがいじめを苦にして自死した関係で調査委員会が発足しましたが、その委員として最終的には委員長もさせていただきました。そのような活動をいろいろしているということで、子どものことについて少し皆様方にお話できればいいのかなということで今日は寄せていただきました。今日はあまり堅い話はしたくないなと思っております。所々ですね、皆さんがどんなふうにお考えになっているか、挙手いただこうかなと思っているところがありますので、クイズ形式みたいな感じで気楽に手を挙げていただいて、当たりとか、外れとか、あまり気になさらずにですね、楽しい時間も少し入れておきたいなと思っております。

今日、少年の今を語るということをどうしてお話させていただこうかと思ったのかということなんですけども、日本は経済的に見ると非常に発展しているし、GDP も高いですよね。そのような国であるけども、本当に今の子どもたちはどんな状況に置かれているのかということをやはりよく見ておく必要があるかなと思っています。私は少年の弁護活動をいろいろやっておりますけども、結構しんどい子どもにいっぱい会います。先程、名刺交換をさせていただいた方に保護司の先生方もいらっしゃるというふうにお伺いいたしました。子どもの現状というのはかなり厳しい状況にあると思っておりますので、私が経験していることをぜひ皆様方に少しお聴きいただければなと思います。今日のレジュメでですね、最初、子どもの現状について書かせていただきました。

子どもの現状

1)貧困

子ども、今、子どもの貧困、この日本で貧困という言葉が合うのかというところをまず考えておく必要があるのかなと思うんですが、統計をいろいろ採ってきました。子どもの貧困といった場合には17歳以下の子どもさんについてその現状が報告されています。年収が、ご家族の年収が122万円に満たない世帯、これは平成24年度の場合ですけども、だいたいどのぐらいのパーセンテージ、要するに何人の子どもに一人の割合で貧困と言われているかということなんですが。100人に1人ぐらいの感覚かなという方どのくらいいらっしゃるでしょうか、50人に1人ぐらい、10人に1人ぐらいはいるかな、5人に1人ぐらいかな。

この統計を見て私もびっくりしました。現状は6人に1人、この日本で6人に1人は世帯が122万円に満たない家庭で生活しているということです。ですから、今の格差社会と言われていますけども、それがすごくあるということです。今申し上げたのは平成24年の統計です。子どもの貧困率は16.3%となっております。昭和60年の時は10.29%だったんですね。そうするとこの30年の中でだんだんだんだん子どもたちが経済危機に、厳しい状況に追い込まれているということがわかるんではないかと思います。いろいろ子どもたちと接していても、やはりお金がないということで学校に進学できないとか、働かなきゃいけないとかといった子どもたちが結構多いんですね。ですので、この状況をぜひ知っていただきたいなと思います。

2)虐待

それから虐待の問題。これは最近、新聞紙上で騒がしているので、皆様方も、もうよくご存知かなと思います。最近では大阪の堺の方で虐待死の関係が新聞に出ております。これもクイズ形式で少しやってみたいなと思うんですが、統計で上がっているのはですね、所謂、児童相談所と言ったところがあるんです。そこに虐待の相談がどのぐらい来ているのかと言ったところを集計しています。年間でどのぐらいそういうところに相談が来ているか。これは全国の統計なんですけども、年間、そういうところに1000件ぐらいは来ているだろう、1000件ぐらいかなという方、5000件ぐらいは来ているか、1万件ぐらい虐待通告みたいなのが来ているんじゃないか、3万ぐらい、5万、5万はもう超えてしまって10万ぐらいは行ってしまうかな、いやいや10万超えてしまうんじゃないか。実際はですね、27年度の速報値なんですけども、10万3250件、全国で10万件を超えました。これは初めてです、10万件を超えたというのは。統計を採りますと前年度比116.1%になっています。また、平成17年度、約10年前と比較すると3倍に増えているということです。これが良いことなのか、悪いことなのか、いろんな評価はあると思いますが。最近の虐待の定義は昔と違っているのかなと思います。最近は心理的な虐待ということで虐待ととらえることが多くなっています。具体的に心理的虐待ということはですね、子どもの前で、お父さんがお母さんを殴りつける、いわゆるDVですね、ドメスティックバイオレンスと言われる家庭内暴力ですね、そういうのを見せること自体も虐待になると今の定義ではなります。そういうことで心理的な虐待ということがすごく増えていて、この10万件の中には結構あるのかなと思います。

それから警察のほうから通報が来るということも最近の傾向としてすごく多いです。虐待といいますとイメージは殴っているというイメージがあると思うんですけども、殴る以上にですね、言葉による暴力とか、それからお母さんが自分の目の前で暴力を受けているということは子どもにとってすごく大きなトラウマになります。子どもたちに聴くとそういうことはなかなか語らないんですけども、いろいろその深層心理を解いていくと、そこにはやっぱりお父さんがお母さんを殴っていたということが大きな心の傷になっているというようなことが多く見られます。

3)自死

それからもう1点、自死のことですね。私もいじめ関係をやっていますと自死の問題というのはすごく大きなことかなと考えているところなんです。今、小学校、中学校、高校でどのぐらいの子が1年間に自死をしているのかといったことですが、これも統計を採っています。警察庁、それから文科省で統計を採っています。大体、年間でどれぐらいの子どもたちが自死していると思いますか。10人ぐらいかな、50人ぐらいは亡くなっているんじゃないか、100人ぐらいは行くかな、100を超えて200ぐらい行くかな、300人ぐらいまで行っちゃうかな、300を超えるかなという方。

統計上はですね、27年度の警察庁の統計では349人、文科省の統計だと214人、なんでここに130の差があるのか。要するに自死なのか、事故なのか、そこのところの認定をどうするかといったところで、本当は自死なのに事故という形で終わってしまっているケースもあるのかなと思います。そういうことから言うと警察庁の統計を基準に考えて行くことがすごく大事かなと思うんですが、350人というのは一日1人ですよね。一日1人の小中高校生が自ら命を絶ってしまう、みずから命を絶つというのは自分で選択するというのではなくて、追い込まれてしまってそうせざるを得ないということなんですね。自分の意思で自死しているわけじゃないんですね。そういう状況があるといったところをぜひ認識していく必要性があると思います。大津の件でも中学2年生でした。その子が自宅マンションの14階から飛び降りて亡くなっている。それ以外に最近では電車に飛び込んでしまうケースとか、いろんなケースがあります。その亡くなり方もすごくしんどい状況かなといった、本当に途中で助かる見込みがないような、それを敢行してしまったら死になってしまうというケースが多くなっていると思います。2階、3階から飛び降りたらまだ助かる見込みってあるかもしれないですけども、どうですか、10階から飛び降りたらまず助からないですよね。そういう形の自死というケースが多くなっているのかなと思います。結構、しんどい話ばかりして申しわけないですけども、現状としてこういうことがあるんだということはなかなか見ることはない、聞くことはないと思いますのでちょっとお話させていただいております。

いじめについて

今、子どもたちについて、申し上げた三つの観点から見てみましたけども、私は、大津でいじめの調査をしましたことから、その後、いじめの相談を受けたり、今は文科省のいじめ防止対策協議会の委員もいろいろしているので、少しいじめのことについてもみなさん方にお話を申し上げておきたいと思います。

1)平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

いじめといった場合には小学校、中学校、高校、それから支援学校といったところに限ってのことですので、子どもたちからいうと7歳から18歳までの間のことです。だいたいどのぐらいの件数を文科省のほうでいじめとして把握しているかといった、またこれもクイズ形式ですけども。年間でですね、文科省のほうに学校のほうから報告が来るのは、1000件ぐらいの報告が来てるかな、5000件ぐらいはいじめの報告が来ているか、1万件ぐらい、いやいや5万件ぐらいの間くらいかな、5万を超えて10万は行くかな、10万を超えるんじゃないか、15万は行くだろう。

○1認知件数

文科省の方に来ている統計によりますと27年度で22万4540件、26年度は18万8000件ということです。この統計には、報告できてないところも結構あると思います。ですから暗数を見ると、この倍とか、3倍とか言った数字かなと思います。今の文科省の定義でいうと児童生徒の中で一定の人間関係があって心理的、或いは物理的な影響を与える行為、これはインターネットを使ったこともそうなんですけども、それによって被害を受けている子が心理的に苦痛を感じたらいじめになるんですね。結構、広い概念になっていて、皆様方の意識のいじめはもしかしたらちょっと違うかもしれませんけども、いわゆる、ちょっとした行為もいじめに該当するんだよというふうな文科省の指導がありますので、その定義に当てはめると22万件ぐらいの数字になってきております。これは児童1000人あたりで16.4件、起きているということですね。この数字も都道府県によってすごく格差がありまして、多いところ、京都はすごくしっかりと報告されていると聞いておりますが、少ないところと比較すると25.9倍の差がある。だからうちはあまりありませんよと言っている県もある。でも実態としては先程申し上げた定義からするといじめと言われているものをやっぱり見逃しているのではないか、カウントしてないんじゃないかという指導が文科省から都道府県に入っています。

○2いじめ自死

それからいじめで亡くなっている子どもの数、先程、年間で文科省統計では自死した件数が214件ありますが、いじめで年間どのぐらい亡くなっているかということなんですが、これは文科省の認定ですと昨年度は9名ですね。これを多いと見るか少ないと見るか、評価はいろいろあると思います。統計上は、親はいじめじゃないかと言っているけども、学校、文科省はそれを認めないというケースはこの数字には入っていないので、実態としては、この数字も、もうちょっと大きいかもしれません。

また、いじめによって死に至るまではいかないけども不登校になっているケースがかなりあります。

○3いじめによる不登校

これまで統計としては出てないんですけども、新しくいじめ防止対策推進法という法律が3年前にできました。それでいじめによって30日を越える不登校になった場合は重大事案だということでとらえなさいと言われていますが、そのケースがですね、昨年は313件ありました。重大事件に該当するんだけども、報告のないケースもあるので、数とすればもうちょっと多いのではないかと思うんですが、いじめによる不登校というのもかなり問題かなと思います。今、私も相談受けているケースで、まさにいじめによって不登校になっているケースがございます。学校と交渉はしていますけどもなかなか復帰することは難しいという現状があります。他にも今は裁判も抱えていますけども、もうその子は高校を卒業していますが、まだトラウマが全然癒えてない。学校という場に行くことができないというような状況になっています。ちなみに不登校、いじめに限らず不登校の数もちょっと参考までに申し上げますと、小学校、中学校で12万6000人、高校でも約6万人の子どもたちが現在学校に行けていないという現状のようです。子どもにとって、学校というのは一番安心安全の場で、いろんなことを経験できる場、私なんかも学校は楽しかったなという思い出があるんですけども、ある子どもにとっては、学校は本当に苦痛になっている。行くことによって、場合によっては自分の命が奪われかねないような所にもなっているという現状もある。そこもしっかりと押さえておくことが必要なのではないかなと思います。そういう意味から言うと、学校に行け行けということが果たして良いのかどうか、もう行かなくてもいいんだよと声をかけてあげることも場合によっては必要なのではないかといろいろ相談受けながら、或いはいじめを調査する委員会の報告書を読んで感じ入っているところです。

2)傾向

最近のいじめってどういう傾向があるのかなんですけども、結構、今は遊び感覚とか、ストレス発散の形でやることが多いです。あとはインターネット、特にSNS、ラインでのいじめがすごく多いです。このようなケースを聞いたことがあります。

ある部活動で、部員間でLINEをやっていて、部活終わって家に帰ったらLINE にみんながいろいろ投稿していました。さっきまで一緒にやっていた仲間なんだけど、自分に対して死ねという言葉がガーっと入ってきた。900回ぐらい入っていた、みんなから。どうですかね。ついさっきまで学校で一緒にやっていた仲間です。先生もわからないですよね。そんなこと親にも言えないですよね。1人で悩んでいるケースがすごくある。で、いわゆる殴ったりするようないじめではなくて、心理的な攻撃という形。しかもラインとか、そういうインターネットで親や先生がわからないような世界の中で起きている。そのような世界ですからいじめの被害、加害がどんどん入れ替わってますね。ある時はA 君をターゲットにしていたけども、「面白くねえから今度は B にやったろか。」というような形でB 君をターゲットにするというようなことで、子どもたちの8割、9割がいじめ加害をしたり、被害を受けたりという統計が文科省の研究所から出ています。ということで今、いじめというのは子どもたちの中では言葉は悪いですけども、日常茶飯事のできごとになってんじゃないかという現状がございます。

3)原因

なんでそんないじめることが起きるのか。これもいろんなところで調査をしたりしているんですけども、結局いじめる側の問題が一番大きいのではないかと私は思っているんです。私は少年事件で子どもたちに会って話をするんですが、そこから見える子どもというのは自己肯定感が低い。それから自己有用感が低い。 誰かの役に立っているという感覚がすごく低い子どもたちが多い。だから何か目立つためにそういう非行に走ったりとか、いじめをして何かこう注目を集めるという形のことが多いのではないかと思います。

そのような子に接すると、その背景としてすごくしんどい状況にある子たちも非常に多いです。先程申し上げた、家での虐待があったり、或いは過度の期待をかけられるということでのストレスもすごくありますね。いい学校に行って、いい会社に入ってという、まだ昔ながらのそのような形のプレッシャーに子どもたちが関わっていることがあるかなと思っています。これは大人社会にもあります。弁護士をやっていて労働の相談を受けるとハラスメントに関する相談が多いです。ハラスメントする上司とはどんな人なのかなと議論したりするんですけども、やはりハラスメントしちゃうという人は、大人になっても自己肯定感、自己有用感が低く、そういう形で部下にハラスメントしていくということがあるではないかなと思います。ハラスメント、いじめを含めてですけども、差別もそうかな、やはり自己肯定感、自己有用感をどうやって育てていくのかということが、これらの問題を解決していくためにはすごく大事だと私は考えています。

4)対策

それから一方で、いじめの問題はいじめる側の問題もあるけども、いじめられるほうも問題があるんじゃないかといった議論がいろいろ話をしていくと出てきます。皆様の感覚としてやはりいじめられる方にもいじめられて仕方ないよね、そんなところあるよねと思われる方、どのぐらいいらっしゃるでしょうか。ありがとうございます。やはり、いじめられる側にもいろいろ問題があって、いじめられる人は仕方ないんじゃないかという考え方もあるのかなと思うんですが、私はいじめられる側にはいじめられて仕方がないというとはないと考えています。というのは、いじめというのは私の考え方から言うと人権侵害なんですね。人権というのはいろいろ考え方があると思いますが、私は幸せになることだと思うんです。幸せになることをいじめは阻害するんじゃないか、先程の学校に行けなくなるとかいったことは、子どもにとって一番幸せと反するようなことになるのではないか。幸せになることが奪われることは、絶対にあってはならないことです。やはりいじめられる側には非がないんだと言ったことでいろいろと取り組んでいくことが大事ではないかと思います。

あとは周囲で見ている傍観者と言われている子どもたちに対しても、いろいろ語り掛けをしていくということが大事であると思っています。いかに仲裁者になれるかといった部分ですね。今、いじめの予防授業ということで小中高に行っていじめの話をいろいろしていますが、なかなか仲裁者として止めに入ったりというようなことはできないということはあるんです。でも、しんどい子にどうだい、大丈夫かいと声をかけてあげることだけでもいじめの構造が変わって来るのではないかと思っています。

5)解決

あとは最終的にどういうふうに解決していくかといったところなんですが、よく先生方で即、謝って握手して終わりといって、はい、一件落着ということがありますけども、これは一番やっちゃいけないなといつも言っています。やはりいじめの根本解決は、いじめている子の背景事情、何でいじめちゃうのかな、その子もすごくしんどいこともあると思うので、そこをしっかりクリアしてあげるということをしなければ本当の解決に繋がらないだろうと思います。そうしなければ、人が変わってまたいじめが起こってしまうし、大人の見えない世界でまたいじめをしてしまうということになるんじゃないか。本当の解決というのはいじめている子といじめられている子との信頼関係を回復していく、周りで見ている子たちとの関係も回復していく、地域との関係も回復していく。いわゆる修復的司法、修復的正義という考え方なのですが、このような考え方がすごく大事ではないかなと思っています。

6)裁判の紹介

いじめの裁判の話を少しします。今、中学1年生の時にいじめにあって、学校に行けなくなったお子さんの裁判をやっております。その子も今、20歳になりました。でも今でも学校という場には行けない。要するに教室、あそこの場に行くことがもうだめだということで、結局その子は全日制の学校を諦めました。で、定時制の学校に行って、そうするとまあ少し開放的だし、年齢もだいぶん違う子どもたちがいるので何とか卒業までは行けたんですけども、今でもしんどくて、いわゆるトラウマ PTSD(心的外傷後ストレス障がい)にさいなまれている状況です。まあ診断名はPTSD とはついてないんですけども、本当にしんどい状況が続いているということがあります。ですから、いじめの問題というのはそれほど長い期間、やっぱりいじめられた子に対して大きな影響を与えるのかなと思います。

4 少年法適応年齢引き下げ問題(公職選挙法の改正との関連)

最後に少年法のことについて少しお話したいと思います。

今、少年法は20歳まで少年として扱うというのは皆さんご存知だと思います。今それを18歳に引き下げようという動きがございます。

1)少年事件は増えているか

今、議論の中で18歳に引き下げるべきだといったところで、少年事件は増えているんだ、だから年齢を引き下げなければいけないという議論があるんです。今、少年事件増えているかなと思われる方はどのぐらいいらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。これはですね、全く統計上は違います。すごく減っています。戦後、最高だったのは昭和58年で約32万人の子どもたちが検挙されていました。それが平成26年ですと8万人を切っています。これは戦後最低です。10万人あたりにしても一番多かった昭和56年が1721人、平成15年でも1552人、それが平成26年は678人に減っています。

2)少年事件は凶悪化しているか

凶悪事件、これも殺人事件は昭和26年、昭和36年は448件ありましたけども平成26年は52件です。大人は1100件ぐらいあります。強盗でも一番多かった昭和23年は3800人あまり、平成15年も1800人でしたが、平成26年は469人ですので事件数も減っているし、凶悪化も減っているというのが現状です。

3)18,19歳の非行少年への司法の関わり

18歳、19歳を成人として扱うということなんですが、今は軽微な事件が9割ぐらいなんですね。それがもし大人と同じに処分していくとなると、罰金とか、起訴猶予というような形で何も手当をされないのです。今は軽微な事件でも全部家庭裁判所に行きます。家庭裁判所で保護的措置ということでいろいろ心理的なケアをすることができるんですけども、そのようなことができなくなってしまいます。このことはすごく大きな問題ではないかと我々弁護士は考えております。

4)脳科学の見地から

それから脳科学の見地から、これはアメリカのほうでいろいろ言われているんですが、25歳まではまだ人間の脳というのは成長していくんだ、だから18、19歳あたりで切るというのはどうなのかということです。そのような観点から、アメリカの最高裁は18歳未満の死刑や仮釈放のない終身刑は憲法違反であるといった判断をしています。

5)少年の再非行率(検挙人数における再非行少年人数の割合)

一方で再非行率はどうなのか。1回少年院に入ったらまた同じことをやるんじゃないかということなんですが、統計上は一番低かった平成9年は再非行率21%でした。それが平成26年は34.9%と少しずつ増えてきてしまっているところがあるんです。でも、どうでしょうか。34.9%だけども逆にいうと6割以上の子が再非行してないんですね、逆の見方をすると。数字は増えていますけども、一方で子どもたちは本当に犯罪をしたいのか、本当は犯罪なんかしたくないんですよ。でも、再非行をしてしまうということは、やはり社会のほうにも問題があるんじゃないかといった切り口が大事ではないのかなと思います。そういう意味で子どもたちに対して厳罰をしたり、まだ成長段階の子どもたちに罰を与えるという方向での関わりというのは、今後の日本の社会のあり方としてどうなのか。僕はそうじゃない方向がいいんじゃないか。いわゆる、育て直し。先程の虐待とか、いろんなところで排除されている子どもたちがいっぱいいると思うんですね。育て直しという方向で取り組んでいくことが大事である。成功体験が少ない子どもたちが多いです。何とか家とか、学校で成功体験をする。それから18、19歳の子どもたちがしんどいのは就職する機会がないということですね。仕事をしていくと自己実現できるじゃないですか。成功体験ができる。それがない子どもたちがやっぱり非行に走るというケースが多いです。そういう意味では今日、御参加の皆様、会社を経営されている方が多いとお伺いしておりますので、そういう子どもたちに何かこう成功体験を与えられるような、そのような仕事、或いはそういう活動を是非して行けるような、そんな社会にしていければなと思います。私自身も微力ながら子どもたちと関わる中で、そのような社会の実現を生み出していきたいなと思っております。ちょうど時間となりました。今日のお話、まとまりはないですけども、私が経験してきたことを少しまとめてお話させていただきました。もし何かご意見等がありましたらレジュメにアドレスを書いておりますので意見交換をさせていただければなと思います。ご清聴どうもありがとうございました。

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