宇治市の認知症政策について

~認知症の人にやさしいまち・うじ~

宇治市健康長寿部副部長兼 健康生きがい課

課長 藤田 佳也

皆様、こんにちは。

ご紹介いただきました、宇治市役所健康長寿部の副部長をしております、藤田でございます。

本日は宇治市の取り組みにつきまして、このような場を与えていただきまして、

本当にありがとうございます。

本日を含めまして3回、認知症のお話をさせていただくことになります。

私は今日、全般的なことをお話をさせていただきまして、

9月の15日・29日と、また(別の者が)30分ずつ機会をいただきまして、

もう少し認知症の「内容」につきましてお話をさせていただきます。

私がつけておりますこれは『オレンジリング』といいまして、認知症の『あんしんサポーター養成講座』を、

だいたい1時間から1時間半くらいのお話を聴いていただいた皆さんにお渡しをしているものです。

これを日常着けて歩かれると、認知症を持っておられる方から見ても、

「あの人はひょっとしたら、私のことをサポートしてくれる人なのかな?」

ということでの安心感を持っていただけるのではないか、ということでやっております。

これは宇治市だけでなく、全国共通の『オレンジリング』となっております。

30分の中ですので、それではさせていただきますが、

昨日おとといと神奈川のほうで非常に悲惨な事件が起こった中で、今日のニュースでも、

そうした大きなニュースに隠れてあまり報道されてなかったかもしれないのですけれども、

今年も日本の平均寿命がまたさらに(長寿記録を)更新したよ、世界一ではないですけれども、

女性は87.05歳で世界2位、ついに平均寿命が87歳を超えた、ということが報道されていました。

男性は世界で4番目で80.79歳、ほんとうに「人生90年」の時代というのが当たり前になってきています。

こうした「超高齢社会」といわれることが、今日もお話をさせていただきます「認知症」が

これだけ取りざたされる背景かな、というふうに思っております。

「認知症になりたくなかったら、どうすればいいか?」 年をとらなければいいんです。(一同笑)

でもそれはできないことですので、本当に長生きする日本の社会になってきたからこそ、

こうした認知症のことがいわれてきたのかな、というふうに思っております。

ですから、皆さんが認知症のことを正しく理解をして、認知症を持って生きていくことが

これからは当たり前になるんですよ、という社会になることが、

私たちが今求められていることなのかな、というふうに思っております。

認知症の話をする前に、今言いましたことを…(スライドを投影)

これが、「加齢に伴う認知症の発症」というふうに書いています。

これは2012年、いまから4年ほど前のデータなのですけれども、

全国で462万人の方が認知症ですよ、と。

これ以外に、認知症の「前段階」といわれている「MCI(軽度認知障害)」の方たちが

およそ400万人、といわれていますので、全国では(認知症発症者とMCI段階を合計し)

900万人近い方が、何らかの認知症を抱えて生きておられる、ということになります。

これを宇治市になおしますと、

宇治市では65歳以上の高齢者の方がだいたい5万1000人くらいですけれども、

MCI(軽度認知障害)の方たちを合わせると、5万1000人のうち1万4000人くらいが、

なんらかの認知症を持って生きておられるということになります。

ここにおられる方たちも、濃い薄いはあるのですけれども(一同笑)、

そういう時代になってきております。

ここを見ていただきますと、85歳~89歳、さっき言いました平均寿命まで生きると41.4%、

ほぼ2人に1人の方が、認知症になって当たり前なんですよ。

もう少し長生きをして、95歳を超えると、8割近くの方が、

何らかの認知症の症状を持って生きておられるということになります。

95歳くらいになったら、ほとんどの方が認知症を持っておられるのが当たり前ですので、

認知症がない方のほうが肩身が狭い、という状況なんです(一同騒然)。

ご夫婦が揃って健在で、平均寿命まで生きられたらこの数字ですので、夫か妻、

どちらか1人は認知症になるんだよ、と。

お爺ちゃんとお婆ちゃん、4人いるとすると2人は何らかの認知症、

という時代だからこそ、皆が正しく理解をして、

「認知症になったよ」「ああ、そう~、当たり前だね、それがどうしたの?」

くらいの社会になれば、皆がお互いにサポートし、

理解し支えあえる社会になっていくのではないかな、と思っています。

では、認知症認知症と言っていますが、認知症ってなんだ?ということを、

おさらいだけをしておきたいと思います(スライドを投影)。

認知症っていうのは、病名ではありません。

脳の認知機能に何らかの障害が起きたことで、

日常生活に支障が起こっている状態を表す言葉です。

ですので、認知症という何らかの原因で、日常生活にそんなに支障がなかったら、

別にいいわけですよね。

たとえば、孤島で1人で暮らしている方は、そこでお魚とってご飯食べて生きられたら、

支障がなければいいわけで。

ここに書いていますけれども、「認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったりして、

脳の司令塔の働きに不都合が生じ、様々な障害が起こり、生活するうえでの支障が、

およそ6ヶ月以上継続している状態を指し」ます、ということです。

日常生活に支障が出ている状態のことを、認知症というのですよ、と。

その中でも原因になる病気というものは、色々あります。一括りというわけにはいきません。

代表的なものが、アルツハイマー型の認知症といわれるものです。

これがだいたい半分ぐらい。

そして、脳血管性の認知症やレビー小体型、前頭側頭型認知症、こうしたものが代表的なものです。

アルツハイマー型の場合は、他の場合もそうなんですけれども、

「ある日突然認知症になる」わけではありませんよね。

少しずつ少しずつ進行してゆく、こういうものです。

アルツハイマーの場合、おおよそ発症するまでに、25年~30年くらいかかる、といわれています。

脳の中に、βアミロイドというタンパク質が少しずつ少しずつたまっていって、

少しずつ脳の機能が障害されていく。

いまたとえば65歳で発症したとしたら30年前、

35歳くらいからちょっとずつ始まっていて、

そうなると今ここにおられる方も、もう境目はないっていうことに(一同爆笑)。

そういうものだっていうことですね。

それと、「高齢者だけの症状だろう」ということですが、

65歳未満で発症する方のことを「若年性認知症」というふうにいいます。

で、どれぐらいの人がいるのかと、2千人に1人が65歳未満で発症している。

ですので、いま宇治市が約18万9000人くらいですから、

宇治市の中にも100人くらいはいるというわけですね。

ちょっと大きな規模の会社になれば、1人か2人くらいは、

若年性認知症を抱えておられる方がいてもおかしくはないということができると思われます。

それくらい認知症の動きというのは高齢者だけではなくて、自分自身の問題ですし、

皆様方の会社の従業員の皆さんにとれば、自分自身の問題であり親御さんの問題でもあり、

また、お爺ちゃんお婆ちゃんの問題でもある。

とくに若年性認知症の方の場合は、

30代の後半くらいに発症するってこともあるといわれておりますので、

働き続けることを保障してあげないと、たちまちその家庭が立ち行かなくなってしまう、

ということもあるのかな、と思います。

認知症の具体的な中身については、2回目3回目のところで、

お話をさせていただきたいというふうに思っております。

(スライドを投影)

さっきも言いましたように、いま認知症につきましては自分のことですよね、

これは人口ピラミッドの変化を表した表です。

今から9年後の2025年には、いわゆる団塊の世代が75歳を迎えるということになりますので、

そのときになれば、今よりもっとたくさんの方たちが認知症を持って生きていくことになる、

といわれています。

で、一番右側、いわゆる団塊ジュニアが高齢者になっていく時期なんですけれども、

人口ピラミッドの線がそもそも非常に細くなっていますけれども、

日本の社会の高齢化の本当のピークだろうといわれています。

こうした状況になりますので、宇治市は昨年、平成27年3月21日に

「認知症の人にやさしいまち・うじ」

という宣言をいたしました。

認知症を持っていても、

   認知症の人の想いやその人らしさを尊重し、思いやりをもって行動すること、

認知症を正しく理解し、世代や立場を超えてつながり、まち全体で支えること、

認知症の人が人生の最期まで安心して暮らせるまちを共につくること、

認知症になっても、希望や生きがいを持って認知症とともにいきていくこと、

こうしたことができる町になりましょうということで、宣言をさせていただきました。

この宣言をするにあたっては、認知症を持って生きておられる方たち、当事者の方たち、

当事者の家族の方たち、その方たちの意見もたくさん聞きながら、この宣言を作り上げていきました。

認知症という言葉を聞くと、何もわからなくなった人、

何もできない人というようなイメージを持たれるかも知れませんけれども、

先ほどもいいましたように、ある日突然重たい認知症になるわけではありません。

少しずつ少しずつ進んでいく病気ですので、まだまだ初期の頃や若い頃であれば、

じゅうぶんに話もすることも理解をすることもできるし、日常生活の中でできることもたくさんあります。

働き続けなければいけない状況にある方たちもおられます。

この写真は昨年、宇治の茶園さんの協力を得て茶摘みをしたときの写真です。

こういうふうに一緒にお茶摘みをして、就労支援のモデル的な事業なんですけれども、

こうしたことをすることもできます。

「認知症の人にやさしいまち」というのは、市民の皆さんが認知症のことを正しく理解をして、

「認知症があるんだよ」ということが普通に、オープンにできること。

もうひとつ、社会の一員としての役割を果たし続けることができる、

そういう社会を作っていきたいということが、「認知症の人にやさしいまち」宣言をした

大きな目的ということになります。

で、今日お話をさせていただきます、最初に出ました「れもねいど」とか

アクションアライアンスという言葉につながっていくんですけれども、

認知症を抱えて生きておられる方たちは、日常の生活の中で少しサポートがあれば、

できることがたくさんあります。

認知症を抱えていても、生活していくうえでは私たちと一緒ですので、

普通に朝起きたらご飯を食べて、買い物に行くし、買い物に行けばお金を払わなければいけないので、

そのためには金融機関にも行く。

バスにも、電車にもタクシーにも乗る。

そんなときに、たとえば銀行に行ったときに、

「暗証番号が思い出せない」「ATMどうやって使うんだったかな」と、

ちょっとわからなくなることがある。

そのときに銀行でしたら、コンシェルジュみたいに、サポートする人たちが店頭におられて、

その人たちが優しく「どうされましたか?」と声をかけて手伝ってあげたら、

十分に対応することができる。

たとえばお店に行ったときに、どうしてもお金を払うのに時間がかかってしまうので、

ついついお札を出してしまう。

一万円札、千円札を出す、お釣りで財布がパンパンになってしまう。

そうした人たちに、「ゆっくり小銭を数えながら、計算しましょうか?」

って言ってくれる店員さんがいたら、

「このお店に行けば、私でも安心して買い物ができるんだな」

と思ってくれることができるのではないかと。

バスに乗ったとき、「私、ちょっと認知症があるので、

どこそこのバス停で降りたいんだけど、運転手さんお願いしますね。」と、ひと声声をかければ、

そのバス停に着いたときに「着きましたよ」とひと声かけていただける、と。

そんな運転手さんがいたら、安心してバスに乗って、出かけることもできる。

そんなことが、認知症を持っている人たちにとっては、すごく大切なことなのではないのかな、

というふうに思っています。

ともすると認知症っていうのは、「医療や介護で働いている人たちだけが支えていけばいい」

というふうに思われるかもしれませんけれど、そうではありません。

日常生活のいろいろな場面で、私たちが支援できることはたくさんあるんじゃないですかね、と、

こういう思いで作ろうとしているのが、宇治市認知症アライアンス『れもねいど』というものです。

「アクション」とか「アライアンス」とか、『れもねいど』とか、

聞いたこともないような横文字がいっぱい出てきますけれども、

「アクション」というのは行動っていう意味ですね、

「アライアンス」というのは約束事であるとか、同盟だとか、そういう言葉です。

で、『れもねいど(Lemon-Aid)』とは、「レモン(Lemon)」と「エイド(Aid)」をかけあわせた、

宇治市の造語です。

先ほど言いました『オレンジリング』は、

全国ではオレンジが認知症のイメージカラーなのですけれども、

宇治市ではレモン色が認知症の取り組みのイメージカラーだとしております。

なぜかといえば、レモン色はオレンジより少し色が薄いですよね。

宇治市は、重度になった認知症の人たちのことだけを何とかするのではなくて、

もっと色の薄い、もっと早いときから、宇治市は一緒にサポートしていきますよと、

そういう思いをこめて、レモン色をイメージカラーにしているのですけれども、

その「レモン(Lemon)」と、手伝う・援助するという意味の「エイド(Aid)」を組み合わせた

『れもねいど』というものを、昨年の3月21日にスタートさせました。

これは先ほども言いましたように、介護や医療に関わる方たちだけが、

認知症を持っておられる方たちをサポートするのではなくて、

日常の生活の中で関わるであろう、様々なお店や金融機関、交通機関といったところの皆さんが、

認知症のことを理解して、認知症を持っておられる方たちを優しく見守ったり、

バス会社だったらこんなことができる、コンビニであればこんなことができるという、

ちょっとしたことを皆さんが「あ、これならできるよ」というふうに言っていただける。

で、このお店に行けば安心してお買い物したり、サポートしてくれる人たちがいるんだな、

っていうことができたら、認知症を持っていても決して自宅に閉じこもることもなく、

皆さんが穏やかに町の中に出て行くことができるのではないか、と思っています。

いま徘徊という言葉がありますように、行方不明になって亡くなるというようなこともあります。

そのときも、認知症のことを理解している方たちがたくさんいる地域であれば、

「どこに行くの?」「どうしましたか?」「何か困っていませんか?」

と優しく尋ねることができて、行方不明になって命を奪われるようなことを

未然に防ぐことができるかもしれない。

こんなアクションを、皆が少しずつしていける、そんな社会になればいいなということが

このアクションアライアンス『れもねいど』の大きな趣旨であります。

『れもねいど』には、3つの柱があります。

ひとつが「正しい知識」。認知症のことを、恐れず、排除せず、ちゃんと理解をしていること。

そしてもうひとつが、そっと「見守り」ますよということ。

そしてもうひとつは、自発的な「アクション」ということで、

これはそれぞれのいろいろな業種や業態によって、できることはあるのかな、

と思っています。

こうしたことを、市内の企業さんやお店の方たちも

「自分のところだったらこんなことができるかも知れないな」「これくらいのことだったらできるよね」

ということを考えていただいて、ちょっとしたアクションにつなげていくことを表明していただけたら、

それがまた市内にたくさん広げていけたら、『認知症の人にやさしいまち・うじ』

と言えることができるのではないのかな、というふうに思っております。

今回の認知症についての説明の機会は今言いましたように、

正しい知識を得るために、今日を含めて3回やります。

認知症の『あんしんサポーター養成講座』も兼ねています。

今日来ていただいている宇治鳳凰ロータリークラブの皆さんについては、

あと2回受けていただくことでこの『オレンジリング』をお配りいたしますけれども、

また皆様方のそれぞれの会社等で、この話を自分だけでなく、会社の皆にも聞かせて、

皆にも『オレンジリング』を持ってもらおうと思っていただけましたら、

私どもを呼んでいただきましたらどこでも馳せ参じますので、会社ぐるみで理解しようということに

なればいいのかな、と思っております。

そして、ふたつ目が「見守り」ということで、いま宇治市では、

「こういう方が行方不明になっています、探すのをご協力いただけませんか」

という行方不明時のメール発信をさせていただいておりまして、情報を発信いたします。

自分のできる範囲で、とくに表に出る仕事をされている方たちには、

ぜひともご協力をしていただけたら、本当にありがたいなあと思っています。

みっつ目が「アクション」。これはそれぞれのできることを考えていただけたらいいな、

というふうに思っています。

さっき言いました茶摘みの写真ですが、ご協力いただきました茶園さんも、

アクションアライアンス『れもねいど』に加盟していただきました。

この茶園さんのアクションは何か、と申しましたら、茶摘みの場を提供する、

茶摘みの摘み子さんとして、雇用とまではいかないですけれどもそういう場を提供しますというのが、

この茶園さんとしてのアクションとなるわけです。

アクションの例として、『オレンジリング』を持ちますよ、

正式名称の「認知症」を意識して使いますよ、

不安そうな人を見つけた場合には「どうされましたか?」と声をかけますよ、

利用されている方、ご家族など必要であれば行政機関や、各専門の介護や医療の機関につなぎますよ、

こうしたこともアクションになるかな、というふうに思っております。

いま、3月21日にこのアクションアライアンスを始めたところですけれども、

加盟していただいた企業さんはまだまだ少ないのですが、

加盟とあわせて、認知症の方々を支えるボランティア『れもねいだー』をあわせて、

宇治市で育成する取り組みをしています。

平成26年度から、認知症を正しく理解する連続講座という、

毎月1回全部で5回お勉強していただきまして、希望されます方が『れもねいだー』として、

認知症のことを理解していただいたうえでいろいろなお手伝いをしますよという

ボランティアの方たちの養成をしました。

この方たちが先ほど紹介をしました、お茶摘みにつきましても協力をしていただきましたし、

認知症の方でも行くことができますよという、『れもんカフェ』も、たくさんやってはいるのですが、

そこのお手伝いをしていただいたり、もっともっと広がっていけば、

たとえばコンビニエンスストアだとか、ちょっと大きなスーパーマーケットでも、

認知症の人がひとりで行っても、そこでボランティア的に『れもねいだー』さんがその場にいたら、

一緒にお買い物を手伝う、ちょっとサポートをしてあげたら、迷子にならなかったり、

どこの場所にこんな商品があるのね、というようなことを会話をしたり説明をしたりしながら、

お買い物のお手伝いをする。

そういう方たちを『れもねいだー』として、配置いただくことにご協力いただければ、

認知症を持っていても普通にお店に行って、お買い物をすることができる。

そんなことも、イメージができるかな、というふうに思っております。

その『れもねいだー』も、いま養成をしているところです。

まだまだ数は25人くらいで少ないのですけれども、

引き続き養成に取り組んでいるのが、今の取り組みです。

あと、9月の2回の『あんしんサポーター養成講座』の研修も受けていただきまして、

理解をしていただきまして、皆様方のそれぞれの企業さんやお店でも、ぜひとも

「ウチでもできることを考えて、このアクションアライアンス『れもねいど』に一丁かんでやろうか」

と、ご理解いただけましたら、ご連絡いただきたいと思います。

認知症を持って生きることが当たり前になった時代だからこそ、皆さんの本当に正しい理解を得て、

皆が穏やかに、優しく支えあうことのできる、宇治市になればいいなというふうに思っております。

皆様方のご協力をお願いいたしまして、貴重なお時間をいただいたことに感謝をいたしまして、

私の話を終えさせていただきます。

本日は有難うございました。ご静聴有難うございました。

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