「小中一貫校 宇治黄檗学園の教育概要」

2018.2.22

宇治黄檗学園 宇治市立宇治小学校・黄檗中学校

校長 石田光春

皆さん、改めましてこんにちは。本日はお招きをいただきまして誠にありがとうございます。昨年、金丸さんからお電話をいただきました。金丸さんから電話がある時はだいたい宴会のお誘いなので安心していましたら、宇治鳳凰ロータリークラブの例会で何かしゃべってほしいと言う話をいただきました。一応、本市の教育委員さんなので立場上断れないですし、まだまだ先の話やと思って安易に即承諾してしまいました。これほど早く時間が過ぎるとは思わなかったですし、こんな立派な会やとも思いませんでしたので少々後悔をしているところです。しかし、せっかくこのような機会をいただきましたので、本校のコマーシャルを是非させていただきたいなと思っております。ご質問、ご意見につきましては金丸教育委員がすべて引き受けていただくことになりますので私は報告の後、とっとと学校に帰らせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、府道・西から見た本校の校舎でございます。左側が宇治病院、右側に歩道橋があります。これが正門で、車で来られた場合、地下の駐車場に入っていただくということになっております。10数台の業務用・来客用駐車スペースがあります。小学校の敷地に中学校を作りましたので、空間をできるだけ利用するために地下を掘っています。ここから入っていただいたら、小学校の体育館があったり、あと給食調理室や茶室があったり、また、ちょっとしたトレーニングや体育ができるようなスペースも設けております。

宇治病院側が1~4年生の棟で、これが体育館です。第1体育館と私達は呼んでいます。府下の中学校の中では一番大きな広さを誇る体育館です。3階建てぐらいの高さがあって屋上にテニスコートも設置しています。

小中一貫校宇治黄檗学園という名前は実は愛称でございます。宇治市立宇治小学校の敷地に宇治市立黄檗中学校を新設し、施設一体型の校舎を作ったということでございます。

宇治小学校は本市においては一番古い小学校でございます。学制発布の年、明治5年の6月15日の発布前に、授業を始めていて、地域の方はそれをすごく誇りに思っていらっしゃいます。菟道小学校は半年ほど遅れて開校されています。翌年の2月でしたね。菟道小学校の卒業生の皆さんは、そこが一番悔しい思いをされているというふうにも聞いています。黄檗中学校は平成24年の4月1日に開校しました。先程申しましたように空間を有効利用していますので、東側ののり面に合わせて、このように曲面校舎になっています。この3階に5、6、7年生を配置しています。本校では連続性という意味で、中学生は、1、2、3年生と呼ばずに、7、8、9年生年生と呼んでおります。この2階に8、9年生、一階が職員室等、特別教室を含む管理棟になっております。この校舎の屋上に小学校のプールがあります。本当はもっと高い校舎が建てばよかったのですが、ここは歴史風致地区で4階建て以上の建物を作ることはできなかったので、地下1階、地上3階の建物になっています。

このようにデザイン性に富む校舎を作っていただいたことが小中一貫教育を進めるという点での大きな1つ目の特色ではないかと思っています。一貫教育の要は小学校と中学校をスムーズに繋ぐこと。つまり5、6年生と7年生の接続が要です。そのために同じフロアーで小・中学生が勉強しているということが2番目の特色になろうかと思っています。

 普通なら、小学校の卒業式では、みんな感激して、「元気でさようなら、また会おうな」とお別れしていくんですけれど、本校は、次の年からまた同じフロアーで、制服を着て教室が隣に変わるだけで、別れるという感じは全くないですね。もちろん、転校や国・府立、私学に進学する児童も数名はいますが、ほとんどが黄檗中学校に進学するということは、一貫校への信頼を置いていただいている結果かなと思っております。

これは本校の校訓でございます。学園歌にも出てくる言葉、「高く、すずしく、たくましく」です。

次は、本校の基本コンセプトです。絆で育む9年間の学びということで、絆は3つありまして、児童と生徒、児童生徒と教職員、そして学校と家庭地域です。これらの3つの絆で育むことを、新しい学校のコンセプトにさせていただいたということです。

次が、3つ目の特色です。本校が教育活動を進める上で最も大きな特色としていることです。小学校と中学校が同じ敷地内で生活するわけですが、小学校と中学校がそのままいるだけでは施設一体型の意味がありません。そのために、本来の6・3制だけではなくて、9年間を4・3・2という3つのステージに分けて教育活動を進めているということです。前期と呼んでいます小学校の1年生から4年生は、今まで通りの小学校の学級担任の良さを活かす丁寧な指導をします。次の中期、5~7年生は、ここが本校のまさに一貫教育の根幹になる部分なんですけれども、小学校から中学校へなだらかなスロープを作るということで、5・6年ではもちろん学級担任制ですが、この中で一部教科担当制ということで教科によって先生が変わるというカリキュラムを組んで、中学校に行ったときの教科担当制に慣らしておくということをしております。また、5~7年生が交流するような活動も取り入れております。

8・9年生は希望進路をしっかり実現することをねらいにしています。2階のフロアーに行きますと、やはり中学校やなあという落ち着いた雰囲気がいたします。今までの6・3制と、この3つのステージをマッチングさせながら教育活動を進めているというわけです。

その教育活動を支える4つの柱が、1つは小中学校が一体化した学校運営です。せっかく小学校と中学校の教職員が一緒にいるわけですから、できる限り一緒に会議をします。なので職員会議は80数名でします。小学校の行事提案も中学校の先生が聞いていますし、中学校の提案も小学校の先生が聞いています。お互いどういうことをしているかということを、きちっとそこで情報共有するということです。小学校は小学校だけでやった方が、中学校は中学校だけで小回りの利くように運営や会議をした方が効率的です。しかし、必ず一緒にやっている。これが小中学校が一体化した運営をしていく、大切な校是でもあります。これが4つ目の大きな特色になるのではないかと思います。

2つ目が9年間の系統的な学習指導です。小学校でどんな勉強をした子どもが中学校に上がってくるのか、中学校ではどんな勉強をするから小学校でどんなことを気をつけないといけないのかということを常に小中の教員が交流し合い、学び合う。普通、小学校の教員が中学校の授業を見に行くなんて、日程調整だけで大変なことなんですけれども、本校では普通に空き時間さえあったら、いつでも互いの授業を見に行ったり、聞き合ったりすることができます。中学校は教科担当なので、その教科の専門家です。小学校の教員はオールラウンドなので、より深い専門のお話をいつも職員室で聞くことができるわけです。

理科の苦手な小学校教員は、中学校の理科の先生にいつでも簡単にノウハウを聞くことができ、このような系統的な学習指導が進めやすいという利点があるということです。

3つ目が継続性のある生徒指導。この生徒指導の中での児童生徒の情報交流がすごく大事で、異学年交流については後ほどお話をしたいと思います。

4つ目が家庭地域社会と進める学校づくりです。本校は伝統校だけに、地域が学校をしっかり支え盛り上げて行こうというふうにしていただいています。地域や保護者としっかり関係を作って学校を作っていくということです。これらが本校の小中一貫教育を支える大きな4つの柱となっています。 

児童生徒数です。平成29年度は小学生745名、これは市内の小学校では4番目ぐらいですが、立派な大規模校です。中学生は380名在籍しております。本市には中学校が10校ありますが、後から数えた方が早いかなと言う数です。だいたい3~4クラスです。合わせまして、現在1125名が在籍し、教員数は85名。校長は私が小中ともに兼務しておりますので、副校長が本校には1人、小学校の教頭、中学校の教頭という管理職の配置になっています。2校分の校長を兼務していますけれど給料は1校分です。これはよく聞かれる質問です。ぜひ2校分にしていただきたいと思っています。(冗談ですが。)

先ほど申し上げた9年間の継続的な、連続性のある生徒指導を進めるということで異学年の交流をする機会を意図的に作っております。一貫校と言えども準備に時間を要します。          

まずは、中期5・6・7年生の「絆科」という合同学習です。総合的な学習の時間を使って、このような学習をしております。開校当時は3学年を10人ぐらいの小グループに分けて、テーマを決めて、7年生がリードして調べ学習をして、まとめて発表するという形をとりながら2~3年続けましたが、残念ながら教員免許の関係で難しくなりました。やはり小中両方の免許を持っていないと、小中学生混合グループは指導できないということです。現在は、それぞれの学年で調べたものを発表し合うという形に変えました。7年生がリーダーシップをとって、5・6年生は自分もあんなふうになるんだと中学生の姿を自分に重ねて見る。7年生は小学生の憧れの存在でなくてはならない。普通は中学校に進学したら、上級生の8・9年生しかいなくて一番下の下級生ですが、本校では、リーダーシップをとって頑張れる学習があるということで、自尊感情を醸成することにも役立っています。

 次は6・7年生交流です。これは黄檗ミーティングという名前で呼んでいます。6年生が中学校の入学を目前にする3学期に、7年生が6年生に中学校の生活について全体でオリエンテーションします。その後、小グループを作って、6年生の不安や心配ごと、例えば定期テストの勉強とか、部活動のことについて、質問して答えてもらうという取組です。

同じような不安をもっていた7年生が、やがて後輩になる6年生に対して、中学の先輩怖ないしな、部活も大変やけど心配ないぞ、勉強は難しくなるけどれども英語も面白いぞとか、そういうことを答えて安心させ、中学校進学への不安を無くすための交流になっています。

1、9年の交流です。黄檗Walkerと呼んでいきます。9年生が1年生と手を繋いで、校内を案内します。普通なら、6年生がするんですが、さすがに8歳違いというのはすごいですね。お姉ちゃん、お兄ちゃんを超えているような感じがします。1年生にとったら、ものすごく大きくて怖いかもと思っていたお兄ちゃん、お姉ちゃんがすごく優しいし、9年生にとったら1年生がかわいくて仕方ないのです。手を握った時に感じる1年生の手のぬくもりや小ささから、自然と優しさや守ってやらねばという感情を醸成することができます。開校準備の頃に、中学校3年生と小学校1年生が一緒に居て、ぶつかったら大怪我をしませんか?という心配をされる保護者が大勢いらっしゃいました。安全面の心配は一番多く、もっともなことですが、こういう取組によって、小さな小学生には気をつけてあげなアカンという気持ち、譲り合うという気持ちが育ち、お陰様で開校以来、小中学生が衝突して大怪我をするような事案は発生していません。

それから赤ちゃんと9年生の交流。これは、市内の他の中学校でも実施しています。小さな命を抱いたり、あやしたりすることで命の大切さを学ぶことにも役立っているというところでございます。           

お礼に学級毎に文化祭で発表した歌をプレゼントし、赤ちゃんの保護者から、好評をいただいています。

開校して6年目がそろそろ終わるわけですが、この間の成果としましては、1つは中学生が小学生にとって身近な憧れの存在になっているということであります。普通なら、小学生が道で見る中学生というのは、ちょっとだらしなかったり、怖くて避けたいなというようなことがあると思うのですが、一緒に生活していますと一生懸命頑張っている中学生の姿を日常的に目にすることができます。例えば、朝練習をしている野球部のそばを小学生が登校してきます。ネット越しに見える中学生は、礼儀正しく一生懸命頑張っている、あー格好いいなぁ、僕も中学校へ行ったらあんなふうになるんやな、部活したいなあと、そういう憧れになっているのです。

逆に中学生はいつも小学生の視線を浴びますので、目標にならなあかんなという気持ちが育ちます。この相乗効果によって本校の子ども達は大変落ち着いて、前向きに学校生活が送れているということが、一貫校になって一番よかったなと思っているところです。

2つ目は、9年間の仲間意識です。幼稚園や保育園から一緒の子は10何年間も、ずっと一緒に育ちますので、9年生になっても、○○ちゃんとニックネームで呼び合って仲がいいです。それだけではなく、伝統を受け継ぐ校風ということでは挨拶もきちっとしますし、全校が集まるような集会においても、無言できちんと運営ができます。よく褒めていただくのは制服のスカートの丈です。本校の女子は誰も短くしません。制服をきちっと着こなす、それが校風というか、伝統になっております。仲間意識によって、良き校風が受け継がれていると思っております。

3つ目は文武両道ということで、部活もすごく頑張ることです。400名を切るような規模の学校ですが、府下大会、近畿大会、陸上競技個人や卓球団体では全国大会にも出場していますし、吹奏楽部の関西大会で金賞を受賞するというレベルであることも、大きな成果の1つでございます。

(中略・今時の子ども「テレビよりインターネット」「隠語」「コミュニケーション能力の欠如」について)

本校は小中で文科省指定の英語の先行研究を3年間取り組み、昨年12月に研究報告会を開催しました。平成32年度から小学校で、翌年から中学校で実施される新学習指導要領が目指す英語授業とはどういうものか、授業のビデオを観ていただきたいと思います。

(ビデオ視聴)

いかがでしたでしょうか?このように、小学生でも英語を使って恥ずかしいがらずにコミュニケーションします。時には手振り身振りで。私達が子どもの頃には考えられなかったのですが、今はネーティブの先生にも普通に積極的に話しかけます。本校で大切にしてきたことは子ども同士の英語でのやりとりをする場面を増やすことでした。その活動を通して、聞き手や周りがしっかり聞いてくれないと、また聞き取ろうとする努力をしないと、恥ずかしがらずに安心してコミュニケーションができないということを学びました。 

英語はツールですから相手に聞こうとする姿勢がなかったら、コミュニケーションは成り立ちません。これこそが、コミュニケーション能力向上の基礎になるのではないかと思っています。

中学校では先生がずっと原則英語で授業を進めています。3年後にはどこの中学校でもこのような授業が普通になっていくのではないかと思っています。東宇治高校との協働研究でしたので、報告会の当日に高校の授業も本校で公開してもらいました。ALT と高校生が英語で会話しながら時々笑いが起こります。何で笑っているのか、私にはさっぱりわからない状態でした。

小中一貫校の成果と利点を生かし、これからも小中学校の先進的な研究が進められるよう精進して参りたいと存じます。今後も、宇治黄檗園をよろしくお願いいたします。

ご清聴ありがとうございました。

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