少子化に関わる京都府の取組等について

2020.1.30 

~子育て環境日本一の実現に向けて~

西田一慶

皆様こんにちは。今日はこのような機会を賜り大変ありがとうございます。私は偶然ですが宇治市民でございまして、それから貴クラブの名称に宇治鳳凰がついてございますけれども、私の妻が平等院で働いています。何かご縁があるのかなと大変喜ばしく感じております。資料を使ってお話します。お付き合いください。

京都府の少子化の取組ということですが、少子化と高齢化はセットであります。宇治市もご多分に漏れず少子高齢化が大変進んでおりまして、国勢調査の平成27年の数字ですが、宇治市の人口は18万4千人ほどになっています。10年前の平成17年と比べると18万9千人で、5千人ほど人口が減っています。これは宇治市だけではなく、京都府全体もそうですし、日本全国でもこのように少子高齢化が大変すごいスピードで進んでいます。

1ページです。京都府全体の人口推移ですが、一番最近のデータ、2015年、京都府の総人口は260万人です。約100年前の1920年の人口は128万7千人でした。この約100年間で京都府の人口は2倍になっていますが、それぞれの年齢区分でみますと、65歳以上の高齢者人口は100年前はわずか6万5千人でした。100年間で総人口は2倍になりましたが高齢者人口は11倍となっています。高齢化は、医学の進歩であるとか、元気で働く方が増え大変喜ばしいことだと感じております。ただ一方、少子化で0~14歳の子どもの人口がこの100年間で総人口は2倍になっているのに42万人から32万人まで、子どもの人口だけが2割以上減少しています。京都府の人口は2015年あたりがピークで、推計人口になりますがあとはどんどん減っていく、もう総人口も減って高齢者人口だけが増え、地域経済の活性化とか、そういった所に繋がる15~64歳の生産年齢人口や子どもの人口が減っていくというのが少子高齢化の状況になります。

2ページ、京都府の出生数です。毎年生まれる京都府全体の人数は50年前の1970年が一番ピークで毎年4万人ほど生まれていました。ところが2018年では17,909人で半分以下に減少しているところです。これは全国でも全く同じような状況でして、さらにもっと昔のデータを見ますと1940年代の後半に第1次ベビーブームがありました。その時には全国で270万人の子どもが生まれていましたが今、2018年は100万人を切っていて91万8千人で少子高齢化の現況が伺えます。

3ページです。合計特殊出生率といい、特に少子化の時によく使われるデータです。これは1人の女性の方が生涯の間に出産することが見込まれる子どもの数です。全国47県の出生率は全国平均で2人、核家族化と言いますか、2人を切っている状態、全国平均で1.42人で一番高いのは沖縄県で1.89、京都府が1.29、全国で45位になっています。全国1億2千万人がこれからも経済がそのまま維持されるためには、この合計特殊出生率が2.07でないともうどんどん人口が減っていって経済も停滞していくと言われています。当然結婚とか、出産はご本人の意思ですので昔のように産めよ、増やせよはできませんので、結婚され妊娠し、出産を希望される方の希望が叶うことができる率ということで国は1.8を目標として掲げています。

4ページの婚姻件数です。これも50年前の1970年がピークで22,621組の方が結婚されていました。2018年は11,491人で半分程度まで減っています。

5ページの50歳時未婚率ですが、50歳の時点で結婚を一度もされていない方の割合です。これも京都府の数字ですが年々上昇していまして2015年で男性22.7で5人に1人が50歳の時点で結婚されていません。女性の場合は15.8となっています。ただ、今まで申しあげました出生数や婚姻件数が減っている暗い話ですが、ではまだ結婚されてない若い方で結婚したいか、思っていないか、実は京都府で数年前にアンケート調査をしました。

6ページです。将来、結婚したいと思う割合は、すぐにでも結婚したい、いずれは結婚したいを合わせてはおりますけれども8割以上の男女はやはり結婚したいと思っている人が多いのが現実です。ただ、それが未婚であるとか、晩婚の形に繋がっているのが現状です。

7ページです。ではなぜ結婚しないのか。結婚したい割合と同じように京都府で結婚を希望する条件を聞いています。やはり一番多いのは経済的に余裕ができること、自分の希望の条件を満たす相手にめぐり合うこと。そういった機会がなかなかないということです。

8ページです。結婚している方の理想とする子どもは何人ぐらいですかの問いに、先程京都府の合計特殊出生率は1.29でしたが、男女ともに条件が許せば持ちたいと考えている子どもの数は2人以上となっています。

9ページの全国のデータですが、子どもがいてよかったと思うことのアンケート調査が行われています。その中で一番多いのは、子どもの成長に喜びを感じる。次に、子どもとの触れ合いが楽しい。子どものおかげで家庭が明るい。子はかすがいと言いますが、次のようなデータがあります。

10ページです。子どもを育てていて負担に思うことや悩みはどうかという調査では、子育ての出費がかさむ、やはり経済的な負担が多いことが子どもを育てていて負担に思うことや悩みの一番となっています。次に多いのが、子どもと過ごす時間が十分に作れない。これはもしかしたら長時間労働とかいったことが影響しているかもしれません。

11ページです。休みの日に夫が家事や育児にどれだけ時間を割いているか。それによって2人以降がどれだけ生まれているか。出生の状況ですが見事に家事・育児の時間が増えるほど、第2児以降の出生が増えているデータが正比例に出ております。

12ページです。今までの少子化の現状をまとめますと、京都府の合計特殊出生率は45位ということで、若い世代の未婚化、それから結婚されても遅いという晩婚化、晩婚化になりますと当然初めての子どもを出産するのが遅くなりますので晩産化ということで、京都府は厳しい状況であるといえます。特に若い世代、25歳~39歳の女性の未婚率が高く、京都府の43%は全国で45位になります。

女性の平均初婚年齢及び第1子出産年齢が年々上昇してこれも全国46位、45位になっています。

13ページです。このような状況の中で、京都府がどのような取り組みをしてきたかと言いますと、やはり一番最初の結婚ということで、出会いから行政がここまでするのはどうかと意見がありますが、京都府では婚活を応援するセンターを平成27年につくっています。このセンターで身近な、おせっかいなというか、おじさん、おばさん、要は見合いを紹介してくれたりすることが昔はよくありました。そういった方たちの知恵とか経験を活かして婚活マスターさんという形で登録してもらっています。この方々が京都府の研修を受けて出会いを求める方を、婚活応援センターで会員の登録をしてもらって、そういった方たちの出会いやマッチングをさせていただいております。平成27年にセンターができてから4年間で約600組が結婚されました。

14ページ、次は、妊娠・出産です。現状と課題なんですが少子化、核家族化が進む中、結婚された方が子どもができ、赤ちゃんを抱くのは、実は初めてという方が7割おられ、今まで赤ちゃんを近所を含めて甥っ子や姪っ子も抱いたことがない、自分の赤ちゃんが初めてだと。当然そうなると初めての子育てになり、不安や悩みで子育てが大変だと聞きますが、そういうことに繋がるのかなと思っています。

もう一つは地域の繋がりが希薄化している。4人に1人は子育ての悩みを周りに相談できる人がいないという声があります。また、府の全国でトップクラスの取り組みとして不妊治療がございます。1回何十万円もかかったり、1回の治療ではなかなか子どもに恵まれないので複数ずっと通院しなくてはならない大変厳しい治療であると聞いています。府の出生の今や9人に1人がこの不妊治療によって妊娠されているデータもございますので治療費の補助であるとか、力を入れているところです。

15ページ、妊娠・出産の次は子育てです。待機児童があり、保育園が足りないと新聞等でも言われています。京都府でもまずはこの待機児童ゼロに向けて、保育所等の環境の整備、それから箱物ができただけではだめですので保育士さんとか、保育人材を確保して定着していただく施策を進めるとともに、この子育て世代の方のお金がかかるという経済的な負担を軽減する施策をいろいろと実施しているところです。

16ページです。若者が初めて赤ちゃんを産み、抱っこしたのが自分の子どもが7割というデータを紹介しましたが、小学生、中学生、高校生、大学生ですね、そういった方に結婚のこととか、子育てについて触れられる機会、そういった気持ちを持ってもらえるような機会の提供も府は取り組んでおります。例えば、小学校、中学校では教育委員会と連携して助産師さんをお招きしたり、高校生の場合は産婦人科医さんをお招きして、妊娠、出産に関する知識を学んでいただいたり、あと赤ちゃん連れのお母さんが学校の中に少し空き場所があれば、そこで赤ちゃん連れの親子の居場所を作っていただいて、そこに児童生徒さんが休み時間とか放課後にちょっと覗いてみる、今、自然な形で赤ちゃんと交流ができないか、取り組みを始めています。それから大学生の方、2回生、3回生、4回生ぐらいからもう就職で頭がいっぱいになります。就職したら今度は、目の前の仕事で頭がいっぱいになって、いざ結婚しようという時にはもうちょっと早くいろんなことを知ってたら良かったと言う話もございますので今、大学生のライフデザイン、人生設計のそういった機会をつくることもやっております。例えば、大学生がインターンシップで企業、事業所に行かれた時に、そこの従業員の家庭にインターンシップが終わった時にちょっと寄って、その子育て家庭のお母さんのお話を聞いたり、小さなお子さんの面倒を一緒に、例えば、保育所のお迎えを手伝ってもらったりしてインターンシップのときに子育てを体験してもらう事業をやっております。

17ページです。児童虐待は大変悲惨な事件がございますが、こういった問題についてもまずは未然防止、それから早期発見ということで、力を入れているところです。

18ページ、教育の関係です。京都府の全国の学力や学習状況の結果は高水準の位置にいます。今年の4月から小学生から新学習指導要領が始まります。新しい要領に基づいて ICT 、パソコンや電子黒板を活用した授業を進めたいと考えています。

19ページ、企業の取組です。若者が経済的な不安定とかいったところがあるのでなかなか結婚にも結びつかないということもあります。従業員が安心して結婚し、子どもを産み育てながら働ける環境整備が必要と考えています。府は、特に若年者の非正規雇用が多いということですが、観光産業等も多いなど構造上の問題もあると聞いています。例えば、正規雇用の拡大に向けた人材育成、就業支援の強化とか、人材確保・定着支援のため、大学生、専門学校の時に借りていた奨学金の返済の負担を軽くするために企業と府で半分っこするという助成もやっています。

20ページです。このような厳しい状況の中、府もいろんな施策を打ってきていますが、さらに昨年9月、子育て環境日本一を目指すんだということで、社会全体で子育てを見守り支えて温かい子育て社会を実現したい。子どもは社会の宝です。そして子育てにやさしい環境は子育て世代だけではなく、例えば、ユニバーサルやバリアフリーの施設ができれば、それは子育てのお母さんだけが便利になったりするだけではなく、高齢者とか障害の持っている方もそう言った整備があれば皆さんも助かりますから、そういった子育てにやさしい環境は、すべての世代にとっても暮らしやすい環境になると考えています。

府では昨年9月に、そういったことを今後進めていくために大きな方向性を示すため「京都府子育て環境日本一推進戦略」をつくっております。21ページですが、その戦略をつくる前に、子育てしやすい職場をいっぱいやって行こうじゃないかということでいろんな取り組みを企業の協力を得てやっています。子育てしやすい職場は子育て世代だけではなくて、子育てしやすい職場になればそれが企業の価値も高まり、そうすると人材不足の中、人材の確保、そして定着という循環に繋がると考えております。こういった企業を増やして社会全体の子育てにやさしい気運を醸成していきたいと考えています。

一つはこういった企業のご理解をいただいて子育てにやさしいい職場づくりの行動宣言をしていただき、企業、事業者、団体を増やしていきたいと府のサポートチームが訪問して行動宣言の説明をしたり、協力を呼びかけています。まだまだ数は少ないですが、昨年の12月末でこの行動宣言をしていただいたのは今、287社となっています。

22ページです。この行動宣言は、まず企業で協力をいただければその行動宣言の中に、例えば、年次休暇を、今一日単位であるところを半日単位の年休をつくりますとか、働きやすい職場にするために室内の環境を整えますとか、いろんなことが場合によっては必要になります。そういったものに対して、府で補助金を用意しています。さらに宣言した企業さんにホームページ掲載や合同企業説明会でのブースの設置等、宣言企業のバックアップをさせていただいています。

23ページです。この行動宣言は決して難しいことではありません。例えば、男性従業員の育児休業率を増やすとか、経営者がイクボス宣言、社長等みずからが部下等に配慮、理解のある上司になることを社内に宣言してもらうなど、このようなことでも結構でございます。

24ページの子どもにやさしい風土づくりです。昨年からまず企業さんにいろんな取り組みをお願いし、職場づくりを進めておりますが、次のステップとしては京都府全体の風土、地域づくりをやって行きたいと考えております。

一つは今年の春、京都子育て環境日本一サミット、例えば、府知事やいろんな各団体の長、トップに集まっていただき、京都で子育て環境をやっていくぞと声明を出していただける形でサミットをやってみたいと思います。そのあと全体のサミットを受けて、各地域ごとに地域サミットを今、準備しております。そこのご案内もみなさん方にもご協力をいただきたいと思っております。御静聴いただき、ありがとうございました。

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