薬物乱用

学校薬剤師として伝えたいこと

井上佳子

学校薬剤師の仕事は、学校の水道水やプールの水質検査、教室や体育館等生徒が使う教室の照度検査や空気検査、また、騒音、理科の授業に使う薬品や保健室で使う薬品のチェック等、生徒児童たちが生活しやすい環境を整えるために学校薬剤師が各校おかれています。そして、最近は小中学校で薬教育が学習指導要綱で義務づけられています。学校薬剤師はその薬教育の一環として、薬物乱用の授業も学校から依頼があれば行っています。

薬には決められた用法用量(適正使用)があり、その用法用量を守らず服用しないと薬は害になります。薬は、適正使用することで、薬の効果を発揮するもので、あくまでも、薬は自身がもっている自然治癒力が働きやすくするためのサポーターであることを理解していただくよう努めています。

薬物乱用授業の根底には薬の適正使用を理解することにあると私は思います。

薬物乱用の入り口に未成年者によるたばこの吸引とアルコールの摂取があり、なぜ、未成年者は、たばこの喫煙とアルコールの飲酒が禁止されているのか、身体にどうゆう害があるのかを伝えます。特にたばこは血管を収縮し、いろんな病気を併発する原因なので、なるべく、大人になっても吸いたくないように思える授業を心がけています。たばこもアルコールも、また、吸いたい、飲みたいと依存してしまい、なかなかやめれないもので、大麻や覚せい剤等の危険ドラックも依存してしまうため、一度手を出すと、やめれないということにつながります。

このような意図で私は学校から依頼されると薬物乱用授業をおこないますが、今、特に、日常の薬剤師としての業務で気になることは、向精神薬や睡眠薬の服用者が年々増えていることです。それだけ、生きづらい世の中になっているのかもしれないですが、指示通り服用していないような患者さんも事実、見受けられます。あちこちの診療所、医院、病院をめぐり、睡眠薬や向精神薬を処方してもらう、あるいは、医師が処方する処方箋を偽造してまで、薬を手に入れようとする人もいます。闇で売買されているのか、指示通りの服用では効かないから多めに服用したいがために、そのような行為にいたるのか、わかりませんが、世の中にはこういう現実もあります。それが事故や犯罪につながり、社会への悪影響も与えます。

幼少期から1日3回バランスのとれた食事をとり、しっかり睡眠とり、規則正しい生活がいかに大切で、そのことが、心の健康にもつながり、将来、心も身体も強い大人になってもらうことを願い、今後も、学校薬剤師として、少しでも子供達の成長のお役に立てれば幸いです。

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