人の行方

2019.01.25        

  

藤堂 稔之   

現在の社会は混沌としているように思います

自然災害の多発、終わらない世界各地の紛争、流出する難民の群れ、広がる貧富の格差

自由・孤立・勝手主義に傾く人々、自国優先主義に傾く国々、止まらぬ貿易戦争、協約無視の核兵器開発など人々の間に不安や緊張が増しています

それが何を意味するのか、どういう方向に人類は歩もうとするのか、を探ってみたいと思います

人口の増加について

農耕に成功した人類は村落を形成し定着を図る、そのころから人口は少しずつ増加し、

産業中心社会に向かうにつれ人口はさらに増加、今や70億を超えて80億に向かっている

人口の増大は自然環境に影響をもたらし、人類自身の社会環境にも影響をもたらしている生物は場所や食物が豊かであればどんどん繁殖し、場所や食物の減少、枯渇によって疲弊衰退する

過去の地球の歴史において、多くの生物の繁茂、衰退の例がみられ、繰り返されている

人類はどうなのか

自然環境が人類の行為によって悪くなっているとすれば、或いは地球上の多くの場所が人類の生活圏となっている(他の生物圏まで犯している)のであれば、それは範囲を逸脱してまで繁殖しているといえる

地球にとってはバランスを欠いた行為ということになります

自然災害多発について

地震、津波、干ばつ、山火事、竜巻、豪雨が人々の暮らしを破壊している

人類の食糧・資源・エネルギーの消費は膨大なものになっており、異常気象といわれる現象が頻繁になりつつある

温暖化対策は各国で取られてはいるが異常気象が封じられたという証はなく、環境対策会議はコップ24まで来ても足並みをそろえていない

大国が環境対策からの離脱を宣言している

災害の頻度が少なければ時間をかけて復興すれば元へ戻る、頻度が多ければ復興が追いつかなくなり、その分地域の疲弊が進む

災害が多く発生する現状はいびつな現状への警告であり、大自然の修正行為であるかもしれません    人類は英知を持っているが抜けたところもある

縄張り根性や私利私欲に走り、大事なところで協力しない

難民の増加について

人類にとって紛争は絶えません、各地で宗教、民族、食糧、資源、領土を元に

した紛争で難民が増えています

人々は国を追われ、行き所がありません

動物には縄張り争いがあるが、人もまた動物であり自らの城を守ろうとする

争いから逃れるもの、争いから敗れたものは難民となり路頭に迷う、

時に施政者が民を追い出し、時に民が飢えや迫害から逃れて国を出る

アフリカ諸国、南米、イスラム圏など各地で増えている

難民には住まい、食糧、健康の不安が付きまとう、支援も容易ではない

今では難民の受け入れをおおらかに受け入れるところがありません

自国も困窮しているのであり、受け入れる余地はないという

これを人道的に受け入れようとした国の党首は国民から拒否されています

ポピュリズム(大衆迎合主義)がものをいう時代になりました

この現象をどう説明すればよいか、人類の飽和状態が原因であると言えなくもありません

貧富の格差について

産業社会になって工場やビジネスオフィスが仕事の本場を占めるようになって貧富の差がつき始める

物の生産に大量生産、大量流通、大量消費が生まれて資本が重要な位置を占めたことにも一因がある

更に情報産業中心の世の中に変わると世の中に加速度がついてきた

あらゆる情報が瞬時に流れ、時間距離にかかわらず取引は一瞬のうちに行われる

しかしものづくりには何日も何か月も掛るのに、というギャップも生まれた

マネーは世界を駆け巡る、金は金を生むのである

まして益々高度な技術が必要になる今の世では,教育や先端技術が物を言う

学ぶ機会に恵まれない人も多い

貧富の差はこういうところからもやって来る

社会が二分するようであればそこに不穏な空気が漂う

政治が動揺し、巷でプラカードをもって声を上げるものも、それに乗じて暴動を起こすものも出る

各地に紛争が起こる種は増えている

 

自由主義、孤立主義、勝手主義について

集団で行う農耕時代からみれば、核家族主義の工業化社会になって子育ては不便になった

親がいなくなったからである

更に情報化社会になって暮しの主体は核家族から個人に変わった

仕事の性質が暮しを変えているのだ

今や個人中心主義になって一面自由になったが、孤立主義、勝手主義も増えてきている

個人の好きなように生きる、個人のやりたいようにやるという多様な社会であり自由な選択ができる、しかし競争の激しい社会でもある

社会の連携が希薄になるにつれ、結婚式やお葬式の行事も簡素化され、村や町内の行事も

減少気味である 

社会の変化は家族や学校、企業にも及びネグレクトやいじめ・パワハラという問題を引き起こし、大事な人間関係に大きなヒビが入ってきた

人々同士で間引きを行っている実態がある

各国の分裂について

個人主義・自由主義・民主主義を謳歌していた米国は今どうなってしまったのか

環境の協約や貿易の協定や核兵器の非拡散条約など、重要な条約を皆破棄して国連を軽視する

国内では深刻な貧富の格差を抱え、難民の流入を阻止しようとして必死になっている

外に向かっては大国にのし上がる気配の中國を抑えようとガムシャラな交渉を行っている

中國のGNPの絶対額は各国を抜いて、第2位になっている

それが米国の焦りにもなっている

貿易交渉は貿易戦争になっている

兵器に関連する技術のせめぎあいも絡まって余計厳しさを増している

昔の大国の風格は今どこへ行ったのか?

自国優先主義は他国にも広がり、EUからの独立をうたう英国や難民の押し寄せる国々が同じような方向に動いている

いずれも国内で成長が鈍化し、貧富の格差を抱えて困っている

結果として国々の協力より分裂に向かっている

世界の秩序はこれからどうなっていくのであろうか

勝手主義と非協調主義の中から環境や人類を救う政策は生まれそうにない

越える技術について

人の好奇心や探求心は留まるところを知らず

コンピューターから始まって遂に人工頭脳を開発した

AIが将棋や囲碁の名人に勝ったという話はお茶の間をにぎわした

どういう手を打てばよいかは名人の熟考の末の手であり、これを負かすことは余程の切れ者であるといえる

無論 人がAIに多くの定石や知識を与え、過去の差し手、経緯などを十分に入力した結果ではあるが、そこから論理的な計算を導き、AIが判断して打った結果の勝利である

このことは、仕事の多くが論理的な構造である限り、なんでも覚え、できるようになる可能性を秘めている

効率的な生産、効率的な販売、最適な処理、最適な選択といったことであればAIを活用すればどういう仕事にも活用できる

世の中はますます便利になり、自動化、無人化、迅速化、監視化が進行する

しかし一方で政治的戦略の中でサイバー攻撃や無人兵器の開発、宇宙戦争といわれる技術も

現れる

ロボットは産業で活用されるが、無人兵器にならないとは限らない

ドローンは道なき道を通り荷を届ける便利な搬送機になるであろうが兵器にもなる

AIやIOTを活用するビジネスとそうでないビジネスのギャップは大きい

AIやIOTを組み込んだ製品は、そうでないものよりはるかに便利になるに違いない

素晴らしい世界の実現は人類の考え如何であることを思えば、将来は楽観もあるが、危惧なしとは言い切れない

AIと人との関係はどうなるのか、AIは人知を超えるか、人知がAIを制御するか

AIと人知の共存が図れるか、いずれにしてもぼけっとしてはいられない

人間至上主義

人は多くの科学の知識や技術を元にあらゆる可能性を実現しようとしている

工場を変え、オフィスを変え、暮しを変え、社会を変え、生活空間を宇宙にまで拡大し、

また、生命の越えてはならない領域まで踏み込もうとしている、

人間至上主義という考えが出てきている

あらゆることは人において可能であるという

果たして大自然の摂理を超えて人間至上主義が可能なのであろうか

その場合人の拠り所はいったい何処に求められるのであろうか

地球という大自然の中で育まれた人類は、通常この地球上でしか生きられない

地球上では何億年の営みの中で大繁茂して、いつかピークを迎え、そして消滅していった多くの生物が記録されている、    

人類もまた生物である

多すぎる人類が自然災害を誘発し、人類自身が飽和状態に直面しているとすれば、やがてピークを迎える生物のごとくならないとは限らない

誰が人類を救うのか、人類自身か、AIか、それとも大自然か

ご清聴ありがとうございます

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